AI活用

AIでバナー・広告クリエイティブを作る手順

最終更新:2026.06.21 / EC参謀 編集部
AIでバナー・広告クリエイティブを作る手順

「広告を回したいのに、バナーを作る人も時間もない」——制作リソースが足りない担当者にとって、これは慢性的な悩みです。実は、コピーも画像もレイアウトもたたき台はAIに任せて、最後の判断と仕上げだけ人がやる分担にすると、一人でも複数案のクリエイティブを回せるようになります。この記事では、その具体的な手順と、つまずきやすい商用利用・法令面の注意点まで、一緒に確認していきましょう。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • AIバナー制作は①コピー生成→②画像生成→③レイアウト→④検証の4ステップで進める。
  • 1枚に絞らず訴求軸を変えて複数案を出し、A/Bテストで“勝ちパターン”を探すのがAIの一番の強み。
  • ただし商用利用の可否・著作権・景表法/薬機法は要注意。生成物をそのまま広告に出さず、人が必ず確認する。

なぜAIでバナー・広告クリエイティブが作れるのか(と、その前提)

これまで広告バナーづくりは、コピー・画像加工・デザインという複数のスキルが必要で、専任の制作担当がいないと回しづらい領域でした。生成AIは、そのそれぞれの工程を「下ごしらえ」してくれるところに価値があります。コピー案を何十パターンも出す、背景画像を作る、レイアウトのたたき台を組む——どれも一人で抱えるには重かった作業です。AIに最初の一歩を任せれば、担当者は「どれを選び、どう直すか」という判断に集中できます。

ただし、前提として押さえておきたいのはAIは「制作チームの代わり」ではなく「アシスタント」だということです。AIは“それらしいもの”を高速で出してくれますが、ブランドの空気感や、その商品ならではの売りどころ、そして広告規制の線引きまでは分かりません。次のような限界があります。

つまり、AIが出すのはあくまで“素材とたたき台”。選定・仕上げ・法令チェックは人の仕事です。この分担を守れば、リソースが足りないチームでも複数案のクリエイティブを回せます。

💡 始める前に:素材は手元のものを優先する

商品そのものの写真は、AIで生成するより実物を撮った正確な写真を使うのが基本です。生成画像は背景・雰囲気づくりや、人物・シーンのイメージカットに向いています。商品ディテールを生成で“それっぽく”作ると、実物と違って見え、景表法上のトラブルにもなりかねません。「正確さが要る部分は実写、雰囲気づくりはAI」と切り分けましょう。

AIバナー制作の全体フロー 4ステップ

難しく考える必要はありません。次の流れを順番に踏むだけです。先に全体像をつかんでおくと、どこをAIに任せ、どこで人が手を入れるべきかが見えてきます。

  1. STEP1:コピーを生成する

    誰に・何を・どう感じてほしいかを渡し、見出しコピーとサブコピーを複数案つくらせます。ここで訴求軸を変えた案を並べておくと、後のテストの幅が広がります。1案に絞らず、まずは量を出すのがコツです。

  2. STEP2:画像・ビジュアルを用意する

    商品写真は実物を使い、背景や雰囲気カットを画像生成AIで補います。生成した画像は、文字化け・手指の崩れ・商品ディテールの不自然さがないか、ここで一度確認します。

  3. STEP3:レイアウトに組む

    コピーと画像を、バナーサイズに合わせて配置します。CanvaなどのテンプレートやAIレイアウト機能を使えば、デザイン経験が浅くても“見られる形”になります。視線の流れ(コピー→商品→ボタン)を意識しましょう。

  4. STEP4:検証する(人+データ)

    公開前に、誇大表現・事実誤り・規約違反がないかを人が点検します。ここはAIに任せず、必ず人がやる工程です。そのうえで複数案を配信し、クリック率などの数字で勝ち案を選びます。

表で整理すると、各ステップの役割分担はこうなります。太字の工程が「人が主役」になる部分です。

ステップやること主役
① コピー生成訴求軸を変えて見出し案を複数出すAI+人
② 画像生成背景・雰囲気カットを用意(商品は実写)AI+人
③ レイアウトテンプレに配置して形にするAI+人
④ 検証法令・事実チェック+A/Bテスト

特に大事なのは、①のコピー生成と④の検証です。コピーで訴求軸を散らしておけば、テストで比べる材料が増えます。そして検証を“工程として固定”しておけば、勢いで誇大表現を出してしまう事故を防げます。逆に、ここを飛ばして「生成したものをそのまま入稿」してしまうと、後述する法令トラブルに一直線です。

STEP1の前に:訴求軸を出す

コピーを生成する前に、ぜひやっておきたいのが訴求軸の洗い出しです。訴求軸とは「その商品の、どの魅力を前面に出すか」という切り口のこと。同じ商品でも、軸を変えるとバナーの伝わり方がまるで変わります。ここを1つに決め打ちせず、複数用意しておくのが、AIテストを活かす鍵になります。

この4軸でそれぞれバナーを作って比べると、「自社のお客さんには価格より共感が効く」といった発見が生まれます。訴求軸を変えること自体が、最大のA/Bテストだと考えてください。AIは軸の出し分けが得意なので、軸ごとにプロンプトを変えて投げるのが効率的です。

コピー生成に使えるプロンプト

ここからは、バナー用のコピーを出すときにそのまま使えるプロンプトを紹介します。【 】の部分を自分の商品に置き換えてください。「誇張しない」「伝えていない事実を創作しない」という指示を組み込んであるので、誇大表現が混じりにくくなっています。

あなたはEC広告専門のコピーライターです。 以下の商品について、バナー広告用の「見出しコピー」を作成してください。 誇大表現(No.1・絶対・必ず等)や、こちらが伝えていない効果の創作はしないでください。

商品名:【 】 特徴・売り:【箇条書きで3〜5個】 ターゲット:【 】 訴求軸:【ベネフィット/価格/実績/共感 のいずれか】

条件: ・15文字以内の見出しを5案 ・各案に、補足のサブコピー(25文字以内)を1つずつ ・訴求軸に沿った言葉づかいにする

訴求軸の【 】を入れ替えて、軸ごとに何度か投げると、テストに使えるコピーがまとめて手に入ります。出てきた案は、そのまま使わず必ず読み返し、根拠のない断定や、商品と合わない表現がないかを確認してから採用してください。とくに健康・美容系は、次章の薬機法チェックを忘れずに。

ツールの使い分け:どこをAIに任せるか

「AIでバナー」と言っても、1つのツールで全部やるわけではありません。工程ごとに得意なツールが違うので、ざっくり次のように役割を分けると考えやすくなります。具体的なツール名や料金は変わりやすいため、ここでは“タイプ”で押さえて、最新情報は各公式で確認してください。

コピー生成系

対話型のテキスト生成AI(ChatGPTなど)。訴求軸を変えた見出し・サブコピーを量産するのに向きます。たたき台づくりの起点です。

画像生成系

テキストから画像を作るAI。背景・雰囲気カット・イメージビジュアルに向きます。商品そのものは実写を優先します。

レイアウト・デザイン系

テンプレート型のデザインツール(Canvaなど)。素材を“見られるバナー”に組み上げる工程。AI機能でサイズ展開も楽になります。

検証・配信系

各広告媒体の管理画面やA/Bテスト機能。ここは人とデータの領域。数字で勝ち案を選ぶ、最後の砦です。

大事なのは「1ツールに頼り切らない」こと。コピーと画像をそれぞれ得意なAIに分けたほうが、質が上がります。完璧なツールセットを探すより、まずは手持ちの無料ツールで一周し、足りない工程だけ補強するのが、リソースの少ないチームには現実的です。

良いバナー・惜しいバナー

AIで素材が揃っても、組み方しだいで成果は大きく変わります。よくある「惜しいバナー」と、それを直した「良いバナー」を並べてみましょう。AIは情報を詰め込みがちなので、引き算の視点が効きます。

😣 惜しいバナー

  • コピーを詰め込みすぎて、一瞬で読めない
  • 「業界No.1」など根拠のない断定が入っている
  • 生成画像の文字や商品ディテールが崩れている
  • 何をしてほしいか(ボタン・行動)が分からない

😀 良いバナー

  • 伝えたいことは1つに絞り、ひと目で読める
  • 事実にもとづく数字・表現だけを使っている
  • 商品は実写、画像の崩れは人が確認済み
  • 「今すぐチェック」など次の行動が明確

ポイントは「1バナー=1メッセージ」です。複数の訴求を1枚に詰めるより、軸ごとに別バナーを作って、テストで比べたほうが結果につながります。AIは要素をどんどん足してくれますが、最後に削るのは人の役目だと考えてください。

A/Bテストで“勝ちパターン”を探す

AIでバナーを作る一番のメリットは、実は「速く作れること」そのものよりも、複数案を作ってテストできる回数が増えることにあります。これまで1案作るのが精一杯だったところを、3案・5案と用意できれば、その分だけ“当たり”に出会う確率が上がります。

テストのコツは、一度に変える要素を1つに絞ることです。コピーも画像もボタンも全部違う2案を比べても、「何が効いたのか」が分からなくなります。最初は影響の大きい「見出しコピー(訴求軸)」から比べるのがおすすめ。軸の勝ち負けが見えたら、次に画像、その次にボタン文言、と段階的に絞り込みます。

📌 数字で判断し、好みで決めない

「自分はこっちが好き」で選ぶと、お客さんの反応とズレることがよくあります。クリック率やコンバージョン率といった数字を基準に、勝ち案を選びましょう。作るのはAI、選ぶのはデータ——この役割分担を守ると、感覚に頼らない改善が回り始めます。なお、判断できるだけの表示回数が貯まるまで待つことも大切です。

商用利用・著作権・景表法/薬機法の注意点

ここが、AIバナー制作でいちばん見落とされやすく、いちばん大事なパートです。便利さの裏で、そのまま広告に出すとトラブルになりかねない論点がいくつもあります。順番に押さえましょう。なお、規約や法令の解釈は変わり得るため、最終的な判断は必ず各ツールの公式規約・専門家でご確認ください。この記事は一般的な注意喚起にとどめます。

⚠️ 広告に出す前に確認したい4つの論点

  • 商用利用の可否……生成画像・コピーを広告に使ってよいかは、使うツールの利用規約しだいです。プランによって商用可否が変わることもあります。「広告で使う前提か」を必ず規約で確認してください。
  • 著作権・類似性……生成物が、既存のキャラクター・ブランド・他者の作品に似てしまうことがあります。実在のロゴ・有名キャラに寄った画像は使わないのが安全です。
  • 景品表示法(景表法)……「No.1」「最安」「業界初」などは、根拠(調査データ等)がなければ優良誤認・有利誤認にあたる恐れがあります。AIが提案してきても、根拠がなければ使わないでください。
  • 薬機法……化粧品・健康食品・美容雑貨などで「痩せる」「治る」「シミが消える」といった表現は、広告で使える範囲が厳しく定められています。AIは平気でこうした表現を出すので、要注意です。

とくに健康・美容・食品ジャンルは、薬機法・景表法の両面で慎重さが要ります。AIのコピーをそのまま使わず、「この表現は根拠があるか」「この効果は言ってよいか」を一つずつ確認する習慣をつけてください。迷う表現は、使わない・トーンを落とすほうが安全です。生成画像も実在の人物・ブランドに似ていないかを見ておきましょう。商品まわりは実写を中心にし、生成画像は背景や雰囲気づくりに留めると、リスクを抑えやすくなります。

🤖 もう一歩:AIを“チェック役”にも使う

コピーを作ったあと、同じAIに「この広告コピーに、景表法・薬機法の観点で気をつけるべき表現がないか指摘して」と尋ねると、見落としに気づくきっかけになります。ただし、これはあくまで気づきのための補助です。AIの回答は法的な判断ではないので、最終確認は公式情報や専門家に頼ってください。「作る」「直す」「チェックの下ごしらえ」までがAIの守備範囲、と覚えておきましょう。

まとめ:作るスピードより「検証の回数」を増やす

AIでバナー・広告クリエイティブを作る流れは、①コピー生成→②画像生成→③レイアウト→④検証の4ステップです。訴求軸を変えて複数案を出し、ツールを工程ごとに使い分け、最後はA/Bテストの数字で勝ち案を選ぶ——この回し方ができると、制作リソースが足りないチームでも、一人で広告クリエイティブを回せるようになります。AIの本当の価値は「速さ」より、“試せる回数が増える”ことにあります。

ただし、生成物には著作権・商用利用・景表法/薬機法といった見落としやすい論点がついて回ります。だからこそ最後は必ず人が確認・手直しすること。そして、規約や法令は思い込みで判断せず、公式情報や専門家で確かめること。この2つを守れば、AIは制作チームの代わりになる頼れる相棒になります。まずは1商品、訴求軸を2つに分けてバナーを作り、配信して比べるところから始めてみましょう。

よくある質問

Q. AIで作ったバナーを、そのまま広告に使ってもいいですか?

A. おすすめしません。生成物には、商用利用の可否・著作権・景表法/薬機法といった確認すべき論点があります。誇大表現や根拠のない数字がないか、画像が崩れていないかを人が確認し、最後に手直しするのを前提にしてください。規約や法令の判断は、各ツールの公式・専門家でご確認を。

Q. デザインの知識がなくても、見られるバナーが作れますか?

A. 作れます。Canvaのようなテンプレート型ツールやAIレイアウト機能を使えば、配置の土台はかなり整います。意識したいのは「1バナー=1メッセージ」「次の行動を明確に」の2点。情報を詰め込まず、引き算で仕上げると、経験が浅くても見やすいバナーに近づきます。

Q. 何案くらい作ってテストすればいいですか?

A. 媒体や予算によりますが、まずは訴求軸を変えた2〜3案から始めると比べやすいです。一度に変える要素は1つに絞り、影響の大きい見出しコピーから検証しましょう。判断できるだけの表示回数が貯まってから、数字で勝ち案を選ぶのが基本です。

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