AI利用者の約3人に1人が買い物でAIに相談|電通デジタル調査とEC運営者にとっての意味

「買う前にAIに聞く」という行動が、どのくらい広がっているのか——その実測値が出ました。電通デジタルが2026年7月23日に公表した「生活者のAI活用実態調査2026.7」によると、プライベートでAIを使う人のうち、直近半年間で買い物についてAIに相談した割合は、調査した全カテゴリで3割を超えたとされています。ただし「AIの答えをそのまま採用する」人は2〜3%にとどまります。数字の事実と、EC運営者にとっての意味をEC参謀の視点で整理します。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:AI利用者のうち買い物でAIに相談した人は全カテゴリで3割超。最多は「旅行計画/宿泊予約」57%、「金融商品/保険」56%、低いのは「食品/飲料/お酒」31%、「日用品」32%(電通デジタル調査)。
- 意味:AIは意思決定を奪う存在ではなく「比較検討の下調べ役」として使われている段階。「そのまま採用」は2〜3%にとどまる。
- アクション:スペック・仕様・条件が文章で読み取れる商品ページに整える。比較検討が長い商材ほど優先度が高い。
発表の事実:調査の中身と数字
電通デジタルは、AIの普及にともなう生活者の意識・行動変化を研究する社内組織を設け、その一環として「生活者のAI活用実態調査2026.7」を実施・公表しました。公表されている数字は次のとおりです。
- 買い物でAIに相談した人は全カテゴリで3割超……プライベートでAIを使っている人に対し、直近半年間の購買行動でAIに相談したかを尋ねた結果、調査対象の全商品カテゴリで3割を超えたとされています。
- 最も高いのは「旅行計画/宿泊予約」57%……次いで「金融商品/保険」が56%。仕様・機能・価格を慎重に比較しやすいカテゴリで相談率が高い傾向が示されています。
- 低いのは「食品/飲料/お酒」31%、「日用品(洗剤など)」32%……直感や習慣で選ばれやすいカテゴリは、相対的に相談率が低いとされています。
- 「AIの回答をそのまま採用」は2〜3%……意思決定の仕方を尋ねた設問では、そのまま採用する層はごく少数で、多くは「AIの回答を参考にしつつ自分で決める」または「補助的に使う」と回答したとされています。
- 調査規模……全国15〜69歳を対象とした調査で、回答者は3,300名、調査は2026年5月と7月に実施されたと報じられています(規模・時期は報道による)。
なお、AIエージェントが購買そのものを代行する市場(Agentic Commerce)については、矢野経済研究所が2026年度1,500億円から2030年度に3兆円規模へ拡大すると予測しています。今回の調査は「代行」ではなく「相談」の実態を捉えたもので、両者は別のレイヤーの話として区別して読むのが正確です。
EC運営者にとっての意味
ここからはEC参謀としての解釈です。この調査の要点は、数字の大きさよりも「AIがどう使われているか」の質にあるとみられます。
①今起きているのは「検索の一部がAIに置き換わった」段階。3割超が相談しているのに、そのまま採用は2〜3%。つまりAIは候補を絞り、論点を整理するための下調べ役として使われており、最後の判断は人が下しています。ECにとっての実務的な意味は、「AIに選ばれれば売れる」ではなく「AIが要約した候補リストに残れるかどうか」が新しい入口になった、ということです。
②比較検討が長い商材ほど、影響が先に来る。旅行・金融で相談率が高いという結果は、スペックや条件を並べて比べる行為とAIの相性が良いことを示しています。ECに引き寄せれば、家電・PC周辺機器・寝具・工具・スポーツ用品・BtoB資材のように、型番や仕様で比較される商材が先に影響を受けるとみられます。逆に食品・日用品は「習慣で買う」領域が大きく、当面はリピート施策の重要性が変わらないと考えられます。
③AIに読まれる前提の商品情報が競争条件になる。AIが候補を挙げるとき、参照するのは結局テキストで書かれた事実です。サイズが画像の中にしか書かれていない、素材や電源仕様が表になっていない、送料条件がページのどこにも文章で書かれていない——こうしたページは、人には伝わってもAIには拾われにくいとみられます。
EC参謀の見立て
「AI対策」と聞くと新しいツールの導入を考えたくなりますが、この調査から読み取れる打ち手は地味です。スペック・条件・使い方を、画像ではなく文章と表で書き切る。それは同時に、人にとっても分かりやすいページになります。AI経由の流入が読めない今の段階では、「人にもAIにも読める商品ページ」に寄せておくのが最も損の少ない投資だと考えます。
今やるべきこと
- 主力商品のスペックを文章と表に落とす……サイズ・重量・素材・電源・容量・対応機種・付属品などを、画像内テキストだけで済ませずHTMLの本文・表に書く。まずは売上上位の商品から。
- 「よくある質問」を商品ページに置く……サイズ選びの目安、使えない条件、返品・交換の条件などをQ&A形式で明文化する。AIが要約しやすく、人の離脱も減る。
- 送料・納期・返品条件を文章で明記する……条件が読み取れないページは、比較の土台に乗りません。総額と納期を購入前に分かる形にする。
- 自社商品についてAIに聞いてみる……主要な生成AIに「◯◯(自社商品名・カテゴリ)を選ぶ基準」「◯◯のおすすめ」と尋ね、どんな情報が使われ、どこが間違って要約されるかを確認する。誤りの原因は自社ページの情報不足であることが多い。
出典
- 生活者のAI活用実態調査を実施 AI利用者の約3人に1人が購買行動においてAIに相談 旅行や金融で顕著(電通デジタル・2026年7月23日)
- 同リリース(PR TIMES)
- AI利用者の3割以上が「買い物」でAIに相談…旅行・金融商品で上昇傾向(通販通信ECMO・2026年7月24日/報道)
※本記事は公表されたリリースおよび報道に基づく速報解説です。調査設計・数値の詳細は必ず一次情報でご確認ください。
「やることが多すぎて、手が回らない」——そんな時は。
EC参謀を運営する株式会社オタツーは、楽天・Shopify・Amazonの運営代行を4,000件以上支援してきました。原因の特定から日々の運用まで、伴走します。まずは無料で、あなたのショップの伸びしろを診断します。