ECのカゴ落ち率63.48%・機会損失は売上の2.85倍|調査結果のEC運営者にとっての意味と今やるべきこと

買い物かごに入れた商品の6割以上が、そのまま買われずに終わっています。e-365株式会社は2026年7月31日、2026年上半期(1〜6月)のカゴ落ち動向調査を公表し、平均カゴ落ち率63.48%、カゴ落ちによる機会損失額が売上の約2.85倍にのぼると発表しました。「集客をもう1本増やす」より「いま来ている人の離脱を止める」ほうが、多くの店舗にとって近い改善だという数字です。確認できた事実と、自店で今日できることを整理します。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:2026年上半期の平均カゴ落ち率は63.48%、機会損失額は売上の約2.85倍(月商500万円以上のECサイト延べ2,250件の集計)。
- 意味:売上の2倍以上の「買われかけた金額」が毎月こぼれている計算になり、業種によって取りこぼしの大きさが4倍近く違うとみられる。
- アクション:自店のカゴ落ち率をアクセス解析で1度だけ測り、送料表示・入力フォーム・決済手段の3点を確認する。
発表の事実:調査の中身と数値
公表されたのは「2026年上半期(1月〜6月)カゴ落ち動向調査」で、実際のサービス利用ログを集計したものです。数値は出典のまま整理します。
- 発表元と日付……e-365株式会社が2026年7月31日に公表。同社のカゴ落ち対策サービス「CART RECOVERY」の利用データに基づくとされています。
- 調査対象と期間……月商500万円以上の規模を持つECサイト、延べ2,250件。集計期間は2026年1月1日〜6月30日。
- 平均カゴ落ち率……63.48%。
- 機会損失額……売上の約2.85倍。月別では1月が最も大きく3.09倍。
- カゴ落ちメールの平均開封率……42.0%。
- 業種別の機会損失額(売上比)……アクセサリー・時計4.42倍、家具・インテリア3.60倍、スポーツ用品2.91倍、アパレル・雑貨2.86倍、日用品2.53倍、趣味・娯楽2.19倍、化粧品1.70倍、食品1.26倍。
同社は背景として、送料を含めた支払総額の確認や複数サイトの比較といった「厳選消費」の定着を挙げています。なお本調査は同社サービスの利用企業が母集団であり、EC全体の平均とは異なる点は前提として押さえておく必要があります。
EC運営者にとっての意味
ここからはEC参謀としての解釈です。この数字が示しているのは「カゴ落ちが多い」という事実そのものより、取りこぼしの大きさが業種によって大きく違うことだとみています。
①機会損失2.85倍は「伸びしろの大きさ」を示す指標として読む。売上100に対して285が買われかけて消えている、という比率です。もちろんカゴ落ちをゼロにはできませんが、この2.85のうち数%を拾うだけでも、新規集客を増やすより費用対効果が高い場面は多いとみられます。広告費を積む前に見る場所がここにある、という読み方ができます。
②高単価・比較検討型ほど落ちる。アクセサリー・時計の4.42倍と食品の1.26倍では3倍以上の開きがあります。単価が高く、じっくり比較される商材ほどカゴが「保留ボックス」として使われている構図とみられます。逆に食品のように単価が低く反復購入されるものは、その場で決まりやすい。自店の商材がどちら寄りかで、打ち手の優先順位は変わります。比較検討型なら、後追いの再訪促進(メール・LINE・リマーケティング)の価値が相対的に高くなります。
③開封率42.0%は「まだ関心がある人」の証拠。一般的なメルマガの開封率と比べれば高い水準です。カゴ落ちメールが読まれるのは、送っている相手がすでに商品を選び終えた人だからです。名簿全体に一斉配信するより、カゴに入れた人だけに1通送るほうが読まれる——この構造は、規模の小さい店舗ほど効きます。
④1月が最も大きかったという月次の動きも実務的です。商戦期の前後は「集客が増える=カゴ落ちの絶対量も増える」ため、繁忙期の直前にフォローの仕組みを整えておく意味は大きいと言えます。
⚠️ 数値の読み取りに関する注意
本調査は特定サービスの利用企業(月商500万円以上)を母集団としており、すべてのECサイトの平均を示すものではありません。自店の状況は必ず自店のアクセス解析で確認してください。カゴ落ちメールの送信は、特定電子メール法や各モール・カートの規約に沿った運用が前提になります。最新の要件は公式情報および専門家にご確認ください。
今やるべきこと
まずやるべきは施策の導入ではなく、自店の数字を1度だけ測ることです。平均値と比べる前に、自店がどこで落ちているかを知るほうが早く効きます。
- 自店のカゴ落ち率を1回だけ測る……アクセス解析で「カート閲覧数」と「購入完了数」を取り、(1 − 購入完了 ÷ カート閲覧) で概算する。細かい精度より、6割前後なのか8割なのかを把握することが目的。
- 送料と支払総額の見え方を確認する……最終画面まで送料が分からない設計は離脱の典型です。商品ページの段階で送料条件と「あといくらで送料無料か」が分かるかをスマホで確認する。
- 入力フォームと決済手段を点検する……会員登録必須になっていないか、入力項目が多すぎないか、主要なキャッシュレス決済が揃っているか。スマホで自分で1回買ってみるのがいちばん確実です。
- 後追いの1通を用意する……カート放棄者への自動メール(またはLINE)を1通だけ設定する。値引きを付けずに「カートに商品が残っています」と伝えるだけでも機能する場合があります。まずは1通から。
EC参謀の見立て
この手の調査でいちばん危険なのは、平均値を見て「うちも63%くらいだろう」と安心してしまうことです。カゴ落ち率は商材・単価・決済手段・スマホ比率で簡単に20ポイント動きます。比べるべきは他社平均ではなく、先月の自店です。まず1回測り、送料表示とフォームを直し、翌月にもう1回測る。この2回の数字があるだけで、次に何をすべきかは自動的に決まります。カゴ落ち対策の全体像はECのカゴ落ち対策で詳しく整理しています。
出典
- 2026年上半期カゴ落ち動向調査(e-365株式会社 プレスリリース・2026年7月31日)
- ECサイトの「カゴ落ち」は63%、機会損失額は売上の2.8倍(ネットショップ担当者フォーラム・2026年8月3日)
※本記事は2026年8月3日時点の公開情報に基づく速報解説です。数値は出典の調査結果をそのまま引用しており、EC全体の平均を示すものではありません。最新かつ正確な情報は発表元の公式発表をご確認ください。
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