STORESとBASEはどっち?|無料で始められるカートの違いと選び方

自社ECを始めようと調べると、必ず名前が挙がるのがSTORESとBASEです。どちらも初期費用0円・月額0円から始められて、ネットの記事を読んでも「どちらも良い」と書かれていて決めきれない——これは非常によくある行き詰まりです。結論から言うと、この2つは「同じ土俵にある似たサービス」であり、決め手になるのは機能の優劣より自店の条件です。この記事では、費用のしくみ・デザインと商品ページ・決済と配送・集客との相性・将来の乗り換えを順に比べて、自分で判断できる状態を目指します。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- どちらも初期費用0円・月額0円のプランがあり、開店までの手軽さはほぼ互角。機能の差より、料率と自店の売り方の相性で決まる。
- 費用は「月額0円で料率が高いプラン」と「月額を払って料率を下げるプラン」の2段構えという設計が両社共通。月商の見込みで有利なほうが入れ替わる。
- 迷ったら「今月中に売り始める」ことを優先。売れる商品かどうかの検証が先で、カートは後から移行できる。
まず前提:この2つは「同じカテゴリのライバル」
比較の前に、両者の位置づけを揃えておきましょう。STORESとBASEは、どちらもネットショップ作成サービス(ASP型のカートシステム)です。サーバーを借りたりシステムを構築したりせず、アカウントを作れば管理画面から商品を登録して公開できます。専門知識がなくても始められる手軽さが最大の共通点で、個人・小規模事業者の「はじめての自社EC」の定番として並び立っています。
だからこそ、両者を比べても決定的な優劣は出てきません。できることの大枠は重なっており、細かな機能差は互いに追随してすぐ埋まります。「どちらが優れているか」を調べ続けると、いつまでも決められないのは、そもそも問いの立て方が原因です。
そこで、この記事では問いを次のように置き換えます。
比較の問いを立て直す
「STORESとBASEはどちらが良いか」ではなく、「自分の売り方・売上規模だと、どちらの料金設計と機能構成が噛み合うか」で考えます。この問いなら答えが出ます。
費用のしくみを比べる|「無料」の中身を分解する
最も判断に効くのが費用です。ただし両社ともに「月額」だけでは比較できません。ネットショップのコストは、月額+売上連動の手数料+決済手数料の合計で見る必要があります。2026年7月時点で各社が公式ページに掲載している内容を整理すると、次のようになります。
| 項目 | BASE(スタンダード/グロース) | STORES(フリー/スタンダード) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 0円 |
| 月額 | スタンダード:0円 グロース:16,580円(年払い)/19,980円(月払い) | フリー:0円 スタンダード:3,300円(年間契約)/3,960円(月契約) |
| 売上連動の利用料 | スタンダード:サービス利用料3% グロース:0円 | プラン料金に含まれる設計(別建てのサービス利用料の記載なし) |
| 決済手数料 | スタンダード:3.6%+40円 グロース:2.9% ※PayPay・Amazon Pay・PayPalは+1% | フリー:5.5%〜(一部の決済手段は6.5%) スタンダード:3.6%〜(一部の決済手段は4.6%) |
| 独自ドメイン | 利用可(設定が必要) | フリー:非対応 スタンダード:対応 |
| 振込 | 入金サイクルは申請ベース(早期入金のオプションあり) | 振込手数料275円 |
※上記は2026年7月時点で各社公式ページに記載されている内容をもとにした整理です。プラン名・料率・条件は改定されることがあるため、実際の申し込み前には必ず公式ページで最新の条件をご確認ください。
この表から読み取れる構造は、実はシンプルです。両社ともに「月額0円で料率が高いプラン」と「月額を払って料率を下げるプラン」の2段構えになっています。つまり選ぶべきプランは、会社の好みではなく自店の月商がどのくらいかで自動的に決まるということです。
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STEP1:見込み月商を仮置きする
まだ売っていないなら、控えめな数字で構いません。月商5万円・20万円・50万円・100万円のように、いくつかの水準を並べます。
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STEP2:プランごとに「月額+月商×料率」を計算する
たとえば月商20万円なら、月額0円のプランは「20万円×(利用料+決済手数料)」が負担額です。有料プランは「月額+20万円×低い料率」。この2つを並べます。
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STEP3:逆転する月商(分岐点)を見つける
月額の差を、料率の差で割ると分岐点が出ます。その月商を安定して超えられそうかが、有料プランに上げる判断基準です。
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STEP4:使う決済手段を織り込む
PayPayやAmazon Payなど、手数料が上がる決済を主力にする予定なら、その分を上乗せして計算します。客層によってはここが無視できない差になります。
注意
ここで挙げた数値は、各社公式ページの記載を整理した目安です。プラン改定・キャンペーン・決済手段ごとの条件で実際の負担は変わります。また振込手数料や事務手数料の有無・条件はサービスごとに異なるため、シミュレーションの前に各社の料金ページを必ずご自身で確認してください。
デザインと商品ページの作りやすさ
次に、実際に触ったときの作りやすさです。ここは好みが強く出る領域なので、「どちらが優れているか」ではなく「自分の作業イメージに合うか」で見てください。
用意されたテンプレートを選び、ロゴと写真を差し替えて公開する進め方。細部の自由度は下がるが、迷う時間が減り、公開までが速い。初出店ならこちらが現実的。
配色・余白・フォント・セクション構成まで詰めたい進め方。カスタマイズ手段(HTML/CSSの編集や拡張機能)の範囲を事前に確認しておく必要がある。公開が遅れやすいのが落とし穴。
両サービスともテンプレートが用意されており、写真とテキストを入れれば見られる状態になります。差が出やすいのは、①テンプレートの雰囲気が自分の商材に合うか、②細かい調整をどこまでやりたいかの2点です。これは説明を読むより、実際に無料でアカウントを作って管理画面を触るのが最短です。
EC参謀の視点
デザインの比較で時間を溶かす人が本当に多いのですが、初期の売上を左右するのはテンプレートの美しさより商品写真と商品説明です。テンプレートは「無料のものから選んで即決」でよく、その分の時間を写真の撮り直しと説明文に回したほうが、売上への効果は確実に大きくなります。
決済・配送・受注まわりの見方
ここは開店後に効いてくる部分です。細かな仕様は変わりやすいので、比較のときは「何が用意されているか」ではなく「自分の客層に必要なものがあるか」という順で確認します。
決済手段のラインナップ
クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済、PayPayなどのID決済、あと払い系。自分の客層が使う決済があるかが判断基準。手数料が上乗せになる決済もあるため、料率と併せて見る。
送料設定の柔軟さ
地域別・重量別・個数別、一定額以上で送料無料といった設定ができるか。大型商品や冷蔵・冷凍を扱う場合は、ここが後から効いてくる。
受注・在庫の管理画面
1日数件なら差は出にくいが、件数が増えると一覧の見やすさ・検索・CSVの入出力が作業時間を左右する。試し注文を自分で通して確認するのが確実。
拡張機能・アプリ
予約販売、定期購入、レビュー、クーポン、外部連携など。追加費用がかかるものと無料のものが混在するため、必要な機能の総額で比べる。
特に見落とされがちなのが受注処理の使い勝手です。注文が1日1件なら気になりませんが、月に数百件になると管理画面での操作回数がそのまま人件費になります。開店前に自分で試し注文を入れ、「受注 → 発送連絡 → 完了」までの流れを実際にクリックして確認しておくと、後悔が減ります。
集客との相性|カートは集客してくれない
もうひとつ、選ぶ前に理解しておきたい前提があります。自社ECは、楽天市場やAmazonのようなモールとは違い、出店するだけでは人が来ません。カートを選ぶ作業は「お店の箱を用意する」ことであり、集客はその後に自分で作る必要があります。
この点で両サービスに大きな差はありません。どちらを選んでも、集客手段は次のように自前で組み立てることになります。
- SNSからの流入……Instagram・X・TikTokなどで商品や使い方を発信し、プロフィールからショップへ送る。小規模ECの初期流入としては最も現実的な導線です。
- 検索からの流入……商品名・型番での検索に対応できるよう、商品ページの文章を整える。ブログ機能や特集ページがあれば、悩みキーワードでの流入も狙えます。
- 既存の顧客・知人からの流入……実店舗やイベント、名刺・チラシからの誘導。開店直後の最初の数件はここから生まれることが多いです。
- 広告……売れる商品と利益率が見えてから。売れるかどうか分からない段階で広告を回すと、費用だけが先に出ていきます。
つまり、カート選びで悩んで1か月使うより、どちらかで開店して1か月発信したほうが、得られる情報は圧倒的に多いということです。決めきれないときは、この事実を判断材料に加えてください。
結局どちらを選ぶか|5つの質問で決める
ここまでを踏まえて、判断を機械的に進めるための質問を用意しました。上から順に答えていけば、自然と絞れます。
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Q1:今月中に売り始めたいか?
「はい」なら、月額0円のプランでどちらかを即決し、公開を優先します。比較検討はここで終了して構いません。公開しないと分からないことのほうが多いからです。
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Q2:独自ドメインを最初から使うか?
ブランド名のドメインで育てる前提なら、プランごとの独自ドメインの対応状況を確認します。無料プランでは対応しない場合があるため、ここは事前確認が必要です。
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Q3:見込み月商はどのくらいか?
小さいうちは月額0円のプラン、安定して伸びてきたら有料プラン。前述の分岐点の計算を、自分の数字で一度やっておきます。
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Q4:主力にしたい決済手段は何か?
客層が使う決済(カード/コンビニ/ID決済/あと払い)が用意されているか、その決済の料率がどうなっているかを確認します。
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Q5:将来やりたいことは何か?
定期購入、予約販売、実店舗との在庫連携、越境販売など。将来必須になる機能があるなら、その対応状況を今のうちに確認しておきます。ただし「いつかやりたい」程度なら、今の判断材料にしないのが正解です。
この5問に答えて差がつかなければ、それはどちらでも成立するという結論です。その場合は管理画面を両方触って、操作が直感的だと感じたほうを選んでください。毎日触るのは自分なので、その感覚は立派な判断材料です。
「後で乗り換える」前提で考える
最後に、選択の重さを下げる考え方をお伝えします。カートは一生ものではありません。売上が育ち、機能やデザインの制約が事業の足かせになってきたら、そのときにShopifyや上位のASPへ移行すればよいのです。
実際、初期は無料カートで検証し、月商が安定してから移行する事業者は珍しくありません。移行時に持っていけるもの・作り直しになるものを、あらかじめ理解しておけば十分です。
商品情報(商品名・価格・説明文・画像)はCSVや移行ツールで移せる場合が多い。商品写真・文章といった自分で作った資産は、どのカートでも使えます。
デザインとページ構成は基本的に作り直し。会員情報の移行、決済の再契約、URL変更にともなうリダイレクト設定は、事前に個別の検討が必要です。
ここで大事なのは、乗り換えが発生するのは「売れた店」だけという点です。売れなければ乗り換えの検討自体が起きません。だからこそ、最初の判断に時間をかけるより、まず売って確かめるほうが合理的なのです。
迷ったときの現実的な進め方
①どちらかの無料プランで今月中に公開する → ②商品写真と説明文を磨く → ③SNSと検索で流入を作る → ④月商が安定したら有料プランや他カートへの移行を試算する。この順番なら、選択を間違えても損失はほとんど発生しません。
よくある質問
Q. STORESとBASE、どちらが「安い」のですか?
A. 売上規模と使う決済手段によって逆転するため、一律にどちらが安いとは言えません。無料プランで比べると、BASEのスタンダードプランは月額0円でサービス利用料3%+決済手数料3.6%+40円、STORESのフリープランは月額0円で決済手数料5.5%〜という構成です(いずれも2026年7月時点・公式ページの記載)。売上が小さいうちは月額0円のプランが有利ですが、売上が積み上がると、月額を払って料率を下げる有料プラン(BASEのグロースプラン、STORESのスタンダードプラン)のほうが総額で安くなる分岐点が来ます。判断する際は「月商×料率+月額」を両社・両プランで計算し、自店の見込み月商を当てはめて比べてください。料率や条件は改定されることがあるため、最新は必ず各社の公式ページでご確認ください。
Q. 無料プランのままでも本格的に運営できますか?
A. 小規模なうちは十分に運営できますが、2点だけ先に確認しておくとよい項目があります。ひとつは独自ドメインの扱いです。独自ドメインを使いたい場合、対応状況がプランによって異なるため、ブランドサイトとして育てる前提なら早めに確認しておきたいところです。もうひとつは料率です。無料プランは月額の代わりに売上連動の負担が重くなる設計なので、売上が伸びるほど「見えないコスト」が積み上がります。目安としては、月商が数十万円を超えて安定してきた段階で、有料プランへの切り替えを試算するタイミングと考えるとよいでしょう。いずれもプラン内容は変更されることがあるため、最新の条件は公式ページでご確認ください。
Q. 後からShopifyなどへ乗り換えることはできますか?
A. 乗り換え自体は可能ですが、そのまま引っ越せるものと作り直しになるものがあります。商品情報(商品名・価格・説明文・画像)は、CSVでの書き出し・取り込みや移行用のツールを使って移せるケースが多い一方、デザインやページのレイアウトは基本的に作り直しになります。また、会員情報の移行や、決済の再契約、URL構造が変わることによるSEOの引き継ぎ(リダイレクト設定)は個別の検討が必要です。したがって現実的な進め方は、最初から完璧なカートを選ぶことではなく、「まず売れるかを確かめ、売れてから移行を判断する」という順番です。移行の手順や可否は各サービスの仕様変更で変わるため、実行前に公式情報を確認し、必要なら詳しい事業者に相談してください。
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