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ネットショップの確定申告・経理の基本|個人事業主向けに流れと注意点を整理

公開:2026.09.19 / EC参謀 編集部
ネットショップの確定申告・経理の基本|個人事業主向けに流れと注意点を整理

「売上は管理画面で見ているけれど、経理は年明けにまとめてやればいい」——個人でネットショップを始めたばかりの方ほど、そう考えがちです。ただ、ネットショップの経理は売上が入金されるまでに手数料やポイント原資が差し引かれ、仕入れた商品は在庫として残るため、店舗型の商売よりも数字がずれやすい特徴があります。この記事では、個人事業主として運営している方向けに、確定申告が必要になる目安、白色・青色申告の違い、モールやカートの売上の記帳の仕方、仕入れと在庫の考え方、消費税とインボイス、1年の経理スケジュールまでを順番に整理します。税制は毎年のように改正されるため、最新の内容と自分の場合の判断は、必ず国税庁の公式情報や税理士・税務署で確認してください

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • ネットショップの所得(売上−経費)が一定額を超えると確定申告が必要。会社員の副業でも条件次第で申告が必要になります。
  • 売上は入金額ではなく注文ベースの総額で計上し、手数料は経費として分けて記帳するのが基本。在庫は年末に数えて売上原価を出します。
  • 青色申告・消費税・インボイス・電子帳簿保存は、自分の売上規模と取引先で有利不利が変わるため、税理士・税務署への相談が目安です。

ネットショップで確定申告が必要になるのはどんなとき?

ネットショップの確定申告は、売上ではなく「売上から経費を引いた所得」が一定額を超えたときに必要になるのが基本です。売上が大きくても、仕入れや手数料を引いた所得が小さければ申告が不要な場合もあり、逆に売上が小さくても利益率が高ければ必要になる場合があります。

目安は、働き方によって次のように分かれます(2026年9月時点の一般的な目安。控除額などは改正されるため、最新は国税庁の案内で確認してください)。

働き方確定申告が必要になる目安注意点
ネットショップが本業(個人事業主)所得が基礎控除などの所得控除の合計を超える場合基礎控除は令和7年分から見直され、所得に応じて額が変わる仕組みになっています
会社員の副業給与以外の所得が年20万円を超える場合20万円以下でも、住民税の申告は別途必要になる点に注意
赤字の場合申告義務がないケースもある青色申告なら赤字を翌年以降に繰り越せるため、申告しておく意味があります

また、確定申告は所得税の話ですが、ネットショップの場合は住民税・個人事業税・消費税もあわせて考える必要があります。とくに消費税は、所得ではなく売上高(課税売上高)で納税義務が決まるため、「利益は少ないのに消費税の申告が必要」というケースも起こりえます。消費税については後の見出しで整理します。

申告期間は、原則として翌年の2月16日〜3月15日です。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税の対象になる場合があるため、年明けに慌てないよう、日々の記帳をためないことが一番の対策になります。

白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告の違いは、「記帳の手間をかける代わりに、税金面の優遇を受けられるかどうか」です。青色申告は事前に「青色申告承認申請書」を税務署に出す必要があり、複式簿記での記帳などの要件を満たすと、特別控除などの優遇を受けられます。

白色申告

  • 事前の申請は不要
  • 簡易な帳簿でよい(記帳・保存の義務はある)
  • 特別控除や赤字の繰越しはない
  • 売上が小さい開業直後に選ばれやすい

青色申告

  • 青色申告承認申請書の提出が必要
  • 複式簿記など要件を満たすと最大65万円の特別控除(2026年分まで)
  • 赤字を翌年以降3年間繰り越せる
  • 家族への給与を経費にできる制度がある

青色申告特別控除は、令和8年度税制改正で見直しが行われ、2027年(令和9年)分以後は、優良な電子帳簿保存を行う場合に最大75万円、e-Taxで申告する場合に65万円といった区分に変わるとされています。紙で申告している場合は控除額が小さくなる可能性があるため、会計ソフトとe-Taxの利用を早めに検討しておくのが目安です。要件の細部は国税庁の公表内容で確認してください。

申請書の提出期限は、原則として青色申告を始めたい年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内)です。開業届と同時に出しておくと手続きを忘れにくくなります。開業届の出し方はネットショップ開業に届出は必要?開業届と手続きで整理しています。

ここがポイント

「最初は白色で、売上が伸びてから青色に」と考える方も多いですが、青色の申請には期限があり、切り替えたい年の途中からは使えません。会計ソフトを使えば複式簿記の負担はかなり軽くなるため、開業の時点で青色を選んでおく店舗が多い印象です。

モール・カートの売上と手数料はどう記帳する?

ネットショップの売上は、振り込まれた金額ではなく「お客様が支払った総額」で計上し、差し引かれた手数料は経費として別に記帳するのが基本です。入金額だけで売上を記帳すると、売上が実際より小さく見え、手数料が経費として把握できなくなります。

たとえば、モールで1万円の商品が売れ、システム利用料・決済手数料・ポイント原資などで1,500円が差し引かれて8,500円が入金された場合、記帳は「売上1万円」「支払手数料など1,500円」と分けるのが基本の考え方です。

1. 月ごとに売上・手数料の明細をダウンロードする

楽天市場のRMS、Amazonのセラーセントラル、各カートの管理画面には、月別の売上や請求の明細が用意されています。毎月決まった日にダウンロードして保存しておきます。

2. 売上・手数料・入金を突き合わせる

「売上総額−手数料等=入金額」になっているかを確認します。ずれがある場合は、返品・キャンセル・前月分の精算などが原因になっていることが多いです。

3. 会計ソフトに月1回まとめて入力する

明細が取引ごとに細かい場合は、月単位の合計で記帳する方法もあります。どの粒度で記帳するかは、税理士と相談して決めておくと迷いにくくなります。

注意したいのが、売上の計上タイミングです。モールでは注文日・発送日・入金日がずれるため、年末の12月に売れて1月に入金される売上をどちらの年に入れるかで迷いやすくなります。一般的には商品を引き渡した(発送した)日を基準にすることが多いですが、どの基準で統一するかを決め、毎年同じ基準で処理することが大切です。

ほかにも、クーポン値引きの扱い、ポイント原資、送料を受け取った場合の扱いなどは、モールごとに明細の見え方が違います。手数料の内訳を把握することは、節税だけでなく利益管理にも役立ちます。コストの見直し方はネットショップで利益が出ない|コスト構造の見直し方もあわせてどうぞ。

仕入れと在庫(売上原価)の考え方

仕入れた商品は、仕入れた年にすべて経費になるわけではなく、その年に売れた分だけが「売上原価」として経費になります。売れ残って年末に手元にある商品は「棚卸資産(在庫)」として翌年に繰り越すため、年末の在庫を数える「棚卸し」が必要です。

年初の在庫
+ 1年間の仕入れ
− 年末の在庫
= 売上原価(経費)

たとえば、年初の在庫が30万円、1年間の仕入れが200万円、年末の在庫が50万円なら、売上原価は180万円です。年末に大量に仕入れても、売れていなければ経費にはならない点に注意が必要です。

棚卸しで押さえておきたい点は次のとおりです。

在庫を日ごろから正確に把握しておくと、棚卸しの手間が大きく減ります。管理方法は在庫管理の基本で解説しています。

消費税とインボイスはどう考える?

消費税の納税義務は、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まり、1,000万円以下なら免税事業者になります。ただし、インボイス(適格請求書発行事業者)に登録すると、売上規模にかかわらず課税事業者として消費税の申告が必要になります。

ネットショップで登録するかどうかは、主に「誰に売っているか」で考えるのが目安です。

一般消費者向けが中心

購入者が仕入税額控除を使わないため、インボイスを求められることは少なめ。登録しない選択肢も検討されやすい傾向があります。

法人・事業者向けの販売がある

取引先から適格請求書を求められることがあり、登録していないと取引に影響する場合があります。BtoBの比率を確認しておきます。

売上が1,000万円前後

いずれ課税事業者になる見込みなら、登録の時期と簡易課税の届出をあわせて検討すると判断しやすくなります。

免税事業者からインボイス登録をした個人事業者向けには、納付税額を売上税額の2割にできる「2割特例」がありますが、令和8年度税制改正により2割特例は2026年分の申告までで終了し、2027年・2028年分は「3割特例」に移行するとされています(2026年9月時点)。適用条件や簡易課税への移行手続きは、国税庁の特設ページや税理士に確認してください。

ここがポイント

消費税は「利益」ではなく「売上」で決まるため、原価率の高い商材を扱う店舗ほど、納税額が利益に与える影響が大きくなりやすいです。価格設定を見直すときは、消費税の負担も含めて試算しておくのが目安です。

帳簿と書類の保存・電子取引データの扱い

ネットショップの帳簿や請求書・領収書は、原則として7年間(白色申告の一部書類は5年間)保存する必要があり、メールやダウンロードで受け取った請求書などの電子データは、電子のまま保存するのが原則です。電子帳簿保存法により、2024年1月から電子取引データの電子保存が本格的に求められています。

ネットショップは、モールの請求書、決済代行会社の明細、仕入れ先からのPDF請求書、広告の請求など、電子で受け取る書類が多い業態です。次のような運用にしておくと、申告時の探し物が減ります。

保存要件の細部は改正されることがあるため、国税庁の電子帳簿保存法の案内で最新の内容を確認してください。

1年の経理スケジュールと、自分でやるか税理士に頼むかの目安

ネットショップの経理は、毎月の記帳と年末の棚卸し、年明けの申告という流れで回すのが基本で、月1回の作業を習慣にできるかどうかが、申告時の負担を大きく左右します。

時期やること
毎月売上・手数料明細のダウンロード、経費の領収書整理、会計ソフトへの入力
6〜7月上半期の利益の確認。予定納税の通知が来た場合は納付
11〜12月年末商戦前に在庫を把握。12月31日時点で棚卸し
1〜2月決算整理(棚卸し・減価償却・家事按分)、申告書の作成
2月16日〜3月15日所得税の確定申告・納付(消費税の個人事業者の申告期限は3月31日)

税理士に依頼するかどうかは、売上規模と使える時間で判断するのが現実的です。売上が小さく取引が単純なうちは、会計ソフトで自分で申告する方も多い一方、複数モールに出店している、在庫が多い、課税事業者になったといった段階では、記帳の確認や申告を専門家に任せたほうが、ミスのリスクと手間を抑えやすくなります。

開業準備の全体像はネットショップ開業の完全チェックリストでも整理しています。経理の仕組みを早めに作っておくと、売上が伸びたときも慌てずに済みます。

よくある質問

Q. メルカリなどで不用品を売った分も申告が必要ですか?

A. 生活に使っていた不用品(衣類や家具など)を売った利益は、原則として課税されないとされています。ただし、仕入れて販売している場合や、継続的に利益を目的として売っている場合は、ネットショップと同じく事業や雑所得として申告の対象になる可能性があります。貴金属や美術品など、1個30万円を超えるものは扱いが異なる場合もあります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。

Q. 自宅で作業している場合、家賃や電気代は経費にできますか?

A. 自宅の一部を事業に使っている場合は、使っている割合に応じて家賃や電気代、通信費などを経費にできる「家事按分」という考え方があります。按分の割合は、作業スペースの面積や使用時間など、説明できる根拠で決めておくのが目安です。割合を大きくしすぎると、税務調査で否認されるリスクがあるため、根拠のメモを残しておくと安心です。

Q. 開業前に買った商品やパソコンは経費になりますか?

A. 開業前に準備のために支払った費用は「開業費」として扱い、開業後に経費にできる場合があります。仕入れた商品は在庫として、パソコンなど10万円以上の備品は減価償却の対象になるなど、内容によって扱いが変わります。領収書は開業前のものも保存しておき、申告の際に税理士や税務署で扱いを確認してください。税制・手続きの最新情報は必ず公式・専門家でご確認ください。

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