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値上げ許容ラインは「50円未満」で4割超|EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

公開:2026.09.03 / EC参謀 編集部
値上げ許容ラインは「50円未満」で4割超|EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

値上げをためらっている店舗にとって、判断材料になる数字が2つ出そろいました。カウシェが2026年8月25日に公表した調査では、値上げ幅が「50円未満」でも42.7%が買う商品を変えると回答。一方、帝国データバンクが2026年8月28日に公表した調査では、企業の価格転嫁率は39.9%と再び4割を割り込みました消費者の許容ラインは想像より狭い可能性があり、企業側は転嫁しきれていない——この2つを並べて、ECの価格改定を考える材料にします。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 事実:消費者側は「50円未満」の値上げで42.7%、「100円未満」で75.0%が買う商品を変えると回答(カウシェ・2026年8月調査)。企業側の価格転嫁率は39.9%で前回比2.2ポイント低下(帝国データバンク・2026年7月調査)。
  • 意味数十円の差でも銘柄が入れ替わる一方、コストの6割は企業が飲んでいる。据え置きも一律値上げも、どちらも利益を削りやすい局面に入っているとみられる。
  • アクション:全商品を一律に上げず、商品ごとに「比較されやすさ」で分けて改定幅を変える。送料条件と同梱設計を先に見直す。

発表の事実:2つの調査が示した数字

確認できた事実は「消費者の値上げ許容幅は数十円単位で狭い」「企業の価格転嫁は4割にとどまる」の2点です。それぞれの調査概要と数値を、公表されているとおりに整理します。

① カウシェ「値上げに関する調査」(2026年8月25日公表)

調査期間は2026年8月21日〜22日、対象はカウシェ利用者1,869名。

② 帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」(2026年8月28日公表)

調査期間は2026年7月17日〜31日、全国22,350社が対象で有効回答は10,518社。

なお2026年9月の飲食料品の値上げは4,531品目で、単月では2026年内で最多となる見込みとされています(帝国データバンク調査・既報)。仕入れ側の上昇と、消費者側の狭い許容幅が同じ月に重なる形です。

EC運営者にとっての意味

実務への含意は「一律の値上げは反応が出やすい」という点に集約されると考えています。ここからは解釈です。

①「50円」は感覚より重い。42.7%が50円未満の差で銘柄を変えるという結果は、日用品・食品のように比較が容易な商材ほど強く効くとみられます。定価1,000円の商品を1,080円にする判断は、店側の感覚では8%でも、購入者側には「80円上がった」として認識されます。率ではなく金額で見られている可能性を前提に考え直すのが現実的です。

②物流費の転嫁が最も遅れている。費目別で物流費の転嫁率が34.5%にとどまっている事実は、ECにとって直接的です。送料の値上がり分を送料設定に反映せず、商品原価と利益で吸収している店が多いことを示唆します。商品価格を触る前に、まず送料無料ラインと同梱条件の見直し余地がないかを見るほうが、失客リスクが小さい場合があります。

③「まとめ買い意識」は追い風にもなる。消費者の行動変化の1位が「まとめ買い・特売を意識」である以上、単品値上げの代わりにセット販売・複数個購入割引・定期購入で1回あたりの単価感を下げる設計は、消費者側の行動と噛み合います。値上げを「見せ方」で吸収する余地がある領域です。

ポイント

比較されやすい定番品は据え置き(または最小幅)、比較されにくい自社独自品・セット品で利益を取る。全商品を同じ率で上げる方法は、反応が出やすいと考えられます——2つの調査から読み取れる実務的な示唆はここです。

今やるべきこと

今週着手できる範囲で3つに絞ります。

仕入れ側の動きは8月の食品値上げ2,311品目・9月は4,531品目、送料条件の考え方は送料無料ラインの決め方で解説しています。

出典

※数値は各調査の公表値です。調査対象・期間が異なるため、2つの調査を直接比較する際はご注意ください。最新の内容は必ず各社の公表資料でご確認ください。

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