メルカリが透明性レポート2026年上半期版を公開|EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

プラットフォームが「どれだけ削除し、どれだけ補償したか」を数字で出す時代になりました。メルカリは2026年8月3日、「安心・安全の取り組みに関する透明性レポート 2026年上半期版」を公開し、規約違反で削除・非公開としたアイテムが約2,923万件、不正アカウントの利用制限が約51万件だったことを明らかにしています。取引に関する問い合わせ発生率は0.35%と、同社として過去最低水準でした。この数字は二次流通だけの話ではなく、モールに出店するすべての事業者に関わる話です。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:メルカリが2026年8月3日に透明性レポート2026年上半期版を公開。削除・非公開アイテム約2,923万件、不正アカウントの利用制限約51万件、本人確認済みのお客さまによる取引割合79%、あんしん鑑定は約11万件(前年同期比約3倍・149ブランド対応)。
- 意味:出品の監視は人ではなく仕組みで回る規模に入っている。正規の商品でも表記や画像の作り方次第で自動判定に触れうる、という前提で運用したほうが安全だとみられる。
- アクション:モール出店時は禁止表現・画像ルールを年1回は読み直す。ブランドを持つ事業者は模倣品の流通状況を定点で確認する。自社ECでは「返品・補償の基準」を自分の言葉で明文化しておく。
発表の事実
メルカリが公開したのは、同社の安心・安全に関する取り組みの状況を半期ごとにまとめたレポートの最新版です。公表されている主な数値は次のとおりで、いずれも同社の発表の記載に基づきます。
- 公開日・対象……2026年8月3日公開。「安心・安全の取り組みに関する透明性レポート 2026年上半期版」。
- 取引に関する問い合わせ発生率……0.35%。同社として過去最低水準としている。
- 全額補償サポートプログラムの補償率……99.5%。対象取引の多くで補償を実施。
- 補償完了までのスピード……2025年上半期の51.4時間から2026年上半期は35.3時間へ短縮(約1.5倍の改善)。48時間以内に補償が完了した割合は92.6%。
- 本人確認済みのお客さまによる取引割合……79%に増加。FIDO・パスキーの登録者は1,363万人。
- 不正アカウントの利用制限……2026年上半期で約51万件。
- 規約違反による削除・非公開アイテム……約2,923万件。
- あんしん鑑定……約11万件で過去最高、前年同期比約3倍。鑑定可能ブランドは149ブランドに拡大。
- 捜査機関への対応……捜査関係事項照会への対応は3,438件(開示1,583件・非開示1,855件)、令状対応は29件。
数値は同社の発表に基づくもので、集計の定義や範囲は同社の基準によります。比較や引用の際は必ず原典をご確認ください。
EC運営者にとっての意味
ここからはEC参謀としての解釈です。フリマアプリの話として読み飛ばすには、この数字は少し大きすぎます。
①削除2,923万件は「人が一件ずつ見ている規模」ではない。半期で約2,923万件という数は、1日あたりに直すと十数万件規模になります。この量を処理できるのは自動判定を中心に据えた仕組みだけです。つまり、出品側から見た現実は「機械が先に判定し、必要に応じて人が確認する」という順番になっているとみられます。正規の商品を扱っていても、商品名の書き方・画像の作り込み・説明文の表現が過去の違反パターンに似ていれば、いったん止まる可能性はゼロではありません。これはメルカリに限らず、規模の大きいプラットフォームすべてに共通する構造です。
②本人確認79%とパスキー1,363万人は、アカウント乗っ取り対策の話。ECの現場で被害が出やすいのは、購入者側のアカウント乗っ取りによる不正注文です。プラットフォーム側が本人確認と認証を厚くするほど、不正の重心は認証が弱い場所へ移ると考えるのが自然です。自社ECを運営しているなら、パスワードだけのログインを続けている状態は相対的にリスクが上がっていると捉えたほうがよいでしょう。
③「あんしん鑑定が前年比3倍」はブランド事業者へのサイン。鑑定件数が伸び、対応ブランドが149まで広がっているという事実は、二次流通での真贋確認が一般的な行動になりつつあることを示しています。自社ブランドを持つ事業者にとっては、二次流通に自社商品がどう出回っているかがブランド価値に直結する時代になったということです。値崩れや模倣品の流通は、一次流通の売価と信頼の両方に影響します。
④安全性の「数字での開示」が競争要素になり始めた。補償率99.5%、補償完了35.3時間といった数値は、利用者にとって選ぶ理由になります。同じことは自社ECにも当てはまります。返品・交換・補償の条件を具体的な数字と期間で書いている店は、書いていない店より安心して買われます。プラットフォームがここまで開示する以上、書かない選択のコストは静かに上がっていると考えられます。
今やるべきこと
今日から取りかかれる範囲で、優先度の高いものを並べます。
- 出店しているモールの禁止事項を年1回は読み直す……特に商品名・画像・比較表現のルールは改定されます。過去に問題がなかったページでも、ルールが変われば違反になりえます。読む日をカレンダーに入れてしまうのが確実です。
- 商品データと画像を自社側に必ず残す……アカウントや出品が止まったとき、手元に原本がなければ復旧に何日もかかります。商品名・説明文・価格・画像を自社のスプレッドシートとフォルダで管理するのが基本です。
- ブランドを持つなら二次流通を定点観測する……月1回、自社ブランド名で二次流通の出品状況を検索し、想定外の価格や不審な出品がないかを確認します。件数が増えたときの相談先(各プラットフォームの権利者向け窓口)も先に調べておきます。
- 自社ECの返品・補償ポリシーを数字で書き直す……「速やかに対応します」ではなく「到着後7日以内にご連絡ください/確認後3営業日以内に返金します」のように、期間と手順を明記します。特定商取引法に基づく表記の必須項目とあわせて見直すと効率的です。
- 自社ECのログイン認証を見直す……会員機能を持っているなら、2段階認証やパスキーへの対応状況をカート側の仕様で確認してください。実装できない場合でも、管理画面側のアカウントだけは先に強化する価値があります。
💡 EC参謀の見立て
このレポートで実務的にいちばん重いのは、削除2,923万件という規模そのものより、安全性が「数字で示すもの」に変わったという点です。プラットフォームが補償率や対応時間を公表する以上、店舗側も「うちはどう対応するか」を言葉と数字で示せるかどうかが問われます。信頼は雰囲気ではなく条件文で伝わる——そう考えて自店のポリシーを読み返してみてください。表記そのものの整え方は特定商取引法に基づく表記の書き方、アカウント停止に備える考え方はAmazonアカウント停止の原因と復活までの手順が参考になります。
出典
- メルカリ、「安心・安全の取り組みに関する透明性レポート 2026年上半期版」を公開(株式会社メルカリ・2026年8月3日)
- 安心・安全の取り組みに関する透明性レポート(メルカリ 公式ページ)
- メルカリ、「安心・安全の取り組みに関する透明性レポート」2026年上半期版を公開(ECのミカタ・2026年8月7日)
※本記事は2026年8月9日時点の公開情報に基づく速報解説です。数値は発表の記載に基づきます。最新かつ正確な内容は必ず公式発表をご確認ください。
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