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ECのリピート率を上げる施策|同梱物・メール・会員設計

最終更新:2026.08.09 / EC参謀 編集部
ECのリピート率を上げる施策|同梱物・メール・会員設計

売上が伸び悩んだとき、多くの店がまず広告費を増やします。ですが同じ売上を作るなら、新規獲得よりも2回目の購入を作るほうが安く済むのが通例です。リピート率が10%動くと、広告費を変えずに年間売上が変わります。この記事では、リピート率を「同梱物・メール/LINE・会員設計」の3つの打ち手に分解し、2回目の購入を作る一点に絞って整理します。数値はすべて目安ですが、順番と考え方はどの規模でも共通です。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • まず測る:リピート率=期間内に2回以上購入した顧客数 ÷ 期間内に購入した顧客数。年間で2〜3割が一つの目安(商材で大きく変動)。
  • 効く順番:①同梱物(到達率100%・実装が最速)→②メール/LINE(継続接点)→③会員・ポイント(制度で固定化)。いきなり会員制度から作ると失敗する
  • 狙いは1点:追うのは「リピート率」ではなく2回目を買った人の数。1回目→2回目の壁がいちばん厚く、ここを越えた顧客の3回目以降は自然に伸びる。

リピート率とは|計算方法と自店の現在地の出し方

リピート率とは、一定期間に購入した顧客のうち、2回以上購入した人の割合を指します。式にすると次のとおりです。

リピート率(%)= 期間内に2回以上購入した顧客数 ÷ 期間内に購入した顧客数 × 100

実務では「期間」の取り方で数値が大きく変わります。月次で見ると短期間に2回買う人しかカウントされないため、消耗品以外の商材では極端に低く出ます。まずは年間(直近12か月)で計算し、そのあと四半期を補助的に見るのが現実的です。ここを揃えずに他社の数値と比べても意味がありません。

似た指標に「リピーター率」「再購入率」「F2転換率」がありますが、混同すると議論が噛み合わなくなります。整理すると次のようになります。

指標定義使いどころ
リピート率購入者のうち2回以上買った人の割合店全体の顧客定着を年単位で見る
F2転換率初回購入者のうち2回目を買った人の割合1回目→2回目の壁の厚さを測る
リピーター売上構成比売上のうちリピーターが占める割合広告依存度の高さを見る
購入回数の分布1回・2回・3回以上の人数内訳どこで離脱しているかを特定する

このうち実際の改善で真っ先に見るべきはF2転換率(初回→2回目)です。ほとんどの店で、購入回数の分布は「1回だけ」が圧倒的多数になります。3回目以降の顧客はすでに店を気に入っているため放っておいても戻ってきますが、1回目の人は次の機会に別の店を選びます。改善の対象はほぼ常に1回目の顧客だと考えて構いません。

最初にやる3つの集計

難しい分析ツールは不要です。受注データをスプレッドシートに落として、次の3つを出してください。①直近12か月の購入者数、②そのうち2回以上買った人数、③初回購入から2回目までの平均日数。③が分かると、あとで説明する「連絡するタイミング」を勘ではなく数字で決められます。

リピート率が上がらない3つの原因

リピートされない理由は、商品が悪いからではなく「思い出されないから」であることが大半です。現場で見かける典型を3つに絞ります。

①店名が記憶されていない。モールで買った顧客は、商品は覚えていても店名を覚えていないことが珍しくありません。次に同じ商品が必要になったとき、検索窓に打ち込まれるのは店名ではなく商品カテゴリ名です。そこで再び検索結果の上位に出られなければ、購入は競合に流れます。店名が思い出されない限り、リピートは検索順位の運任せになります

②接点が「購入直後」で終わっている。注文確認メールと発送通知は送っているが、そのあと何も送っていないという店は多くあります。ところが顧客が次に必要とするのは、たいてい商品を使い切った頃です。接点がない期間が長いほど、店の存在は静かに忘れられます

③2回目を買う理由が用意されていない。商品には満足したが、いま必要ではない——この状態の顧客に何も渡さなければ、購入は起きません。必要なのは値引きとは限らず、使い方の提案、補充のリマインド、新色の先行案内なども理由になります。理由がなければ行動も起きない、というだけの話です。

× 起きがちな状態

発送通知のあと連絡なし/同梱物はチラシ1枚(値引き告知のみ)/メルマガは月1回の全員一斉配信/ポイント制度はあるが顧客が残高を知らない

○ 目指す状態

開封時に次の行動が1つ提示されている/使い切る少し前に連絡が届く/初回購入者と複数回購入者で内容が違う/2回目のハードルが制度として低い

同梱物の設計|開封の瞬間がいちばん効く

リピート施策で最初に着手すべきは同梱物です。理由は単純で、到達率が100%だからです。メールは開封されなければ届いていないのと同じですが、同梱物は商品を開けた人全員が目にします。しかも開封の瞬間は、その顧客の期待値がもっとも高いタイミングです。

STEP 1|入れるものを1つに絞る

チラシを何枚も入れると、どれも読まれません。最初はA5サイズのカード1枚から始めます。載せる要素は「お礼」「店名と扱っている商品の一言説明」「次にとってほしい行動1つ」の3つだけです。

STEP 2|次の行動を「買う」以外にする

いきなり再購入を求めると押しつけになります。LINEの友だち追加、メルマガ登録、使い方ページのQRコードなど、負担の軽い行動を1つだけ提示します。ここで接点を確保できれば、あとから何度でも連絡できます。

STEP 3|商品を「使い切る前」に働く仕掛けを足す

消耗品なら、パッケージに貼れる小さなシールや、補充の目安を書いたカードが効きます。冷蔵庫や棚に残るものは、忘れられにくくなります。原価数十円で作れるものから試してください。

STEP 4|効果を測れる形にする

QRコードのリンク先にパラメータを付ける、同梱クーポンのコードを専用にするなど、同梱物経由かどうかが後から分かる状態にしておきます。測れない施策は改善もできません。

手書き風のメッセージは効果がありますが、件数が増えると続きません。続かない施策は施策ではないので、月間の出荷件数を踏まえて現実的な形式を選んでください。300件を超えるあたりから、印刷物+部分的な手書きの併用が現実的なラインになります。

メール・LINEの設計|送るタイミングと本数

メールとLINEの役割は、忘れられる前に思い出してもらうことです。内容の巧拙よりもタイミングと頻度の設計のほうが結果を左右します。

基準になるのは、先ほど集計した「初回購入から2回目までの平均日数」です。仮にそれが45日なら、45日を過ぎてから連絡しても遅く、既に他店で買われている可能性があります。平均日数の6〜7割の時点で最初のリマインドを入れるのが目安です。

タイミング送る内容目的
購入から3〜5日後商品の使い方・お手入れ方法満足度を上げ、返品・低評価を防ぐ
購入から2〜3週間後感想の依頼(レビュー)接点の維持とレビュー獲得
平均再購入日数の6〜7割の時点補充リマインド・関連商品の提案2回目の購入を作る
平均日数を大きく超えた時点条件付きクーポン(対象を絞る)離脱しかけた顧客の引き戻し

本数は多ければよいわけではありません。初回購入者向けは4通前後で十分で、それ以上は解除率が上がります。全員に同じ内容を一斉配信するより、初回購入者と複数回購入者で内容を分けるほうが効果は大きく出ます。分けるのが難しければ、まず初回購入者向けのシナリオだけを作ってください。

⚠️ 配信の前に確認すること

メール・LINEの販促配信には、あらかじめ同意を得た相手にのみ送る、配信停止の方法を明記するなど、法令上の要件があります。オプトインの取り方や表記の要件は運用形態によって判断が分かれるため、最新の要件は必ず公式情報および専門家にご確認ください。モールの場合は各モールの規約でも配信条件が定められています。

会員・ポイント設計|2回目を「制度」で作る

会員制度とポイントは、リピートを個々の施策ではなく仕組みとして固定するための道具です。ただし導入の順番を間違えると、原資だけ流出して定着しません。同梱物とメール/LINEで接点を確保したあとに着手するのが順当です。

設計で見落とされやすいのは、次の3点です。

①ポイントは「使えると分かる」ことが条件

残高を知らない顧客にとって、ポイントは存在しないのと同じです。有効期限が近い残高を通知する、購入完了画面で残高を表示するなど、思い出させる導線までがポイント制度です。

②還元率より「2回目の心理的ハードル」

還元率を上げるより、初回購入者限定で「次回使える500円クーポン・期限60日」を渡すほうが、2回目の発生には効きます。金額よりも期限と対象の設計が効きます。

③会員ランクは3段階までに留める

段階が多いほど顧客は自分の位置を理解できません。運用側の管理コストも増えます。まずは会員/非会員の2区分、次に上位ランク1つという順で足していきます。

定期購入(サブスク)の導入は、消耗品であれば有力な選択肢です。ただし解約導線を分かりにくくすることは避けてください。解約しにくい設計は短期的な数字を作りますが、レビューと信頼を確実に削ります。定期購入の表示や解約条件についても法令上の要件があるため、導入時は必ず最新の公式情報を確認してください。

商品別の適正リピート設計|消耗品と非消耗品で戦略は変わる

リピート施策は商材によって「効く打ち手」が変わるため、同じ手法を全商材に当てはめると空振りします。判断の軸は買い替え周期の長さです。

商材タイプ買い替え周期の目安主に効く打ち手
食品・化粧品・日用品数週間〜数か月補充リマインド、定期購入、まとめ買い割引
アパレル・雑貨季節ごと・不定期新作の先行案内、コーディネート提案、シーズン前配信
家電・家具・寝具数年関連商品・消耗パーツの提案、ギフト需要の喚起
ギフト・記念日商材年1回程度前年購入日の1か月前に案内、記念日の記録

買い替え周期が長い商材で「リピート率が低い」と悩むのは、多くの場合は問題設定の誤りです。周期の長い商材では、リピートより紹介・ギフト・関連消耗品のほうが現実的な打ち手になります。たとえば寝具なら本体の買い替えを待つより、カバーやパッドの提案のほうが接点として自然です。

年1回商材こそ「記録」が武器になる

ギフトや記念日商材では、前年に誰が何をいつ買ったかが最大の資産です。翌年の同時期に「昨年はこちらをお選びいただきました」と案内できる店は、顧客にとって探す手間を省いてくれる存在になります。特別な仕組みは要りません。受注データに購入用途をひとこと残しておくだけで始められます。

90日で回す実行プランと測り方

施策を並べても、着手順が決まっていなければ実行されません。ひとり運営でも回せる90日の進め方を示します。

測るときの注意点として、効果が出るまでに最低でも初回→2回目の平均日数ぶんの期間が必要です。平均45日の商材で、施策開始から3週間後に「効果がない」と判断するのは早すぎます。判定のタイミングも先に決めておくと、途中でぶれずに済みます。

💡 EC参謀の見立て

リピート施策でいちばんよくある失敗は、複数の打ち手を同時に始めて、どれが効いたか分からなくなることです。同梱物を変えた月はメール配信を変えない——この程度の分離ができているだけで、翌年の判断材料はまったく違ったものになります。まずは同梱カード1枚から始め、数字が動くのを確認してから次に進んでください。リピーターが増えない構造そのものはリピーターが増えないECの原因と改善策、配信面の改善はメルマガの開封率を上げる方法で詳しく扱っています。

よくある質問

リピート率の目標は何%に設定すればいいですか?

商材によって適正水準が大きく変わるため、まずは業界平均ではなく自店の直近12か月の実績を基準にしてください。そのうえで一般的な感覚を示すなら、年間のリピート率は2〜3割が一つの目安、消耗品や食品のように消費サイクルが短い商材ではもう少し高く出ます。一方、家具・家電・寝具のように買い替え周期が数年単位の商材では、年間リピート率が1割を下回っても異常ではありません。この場合に無理やり再購入を追うと、値引きばかりが増えて利益が落ちます。目標を置くときは「率」ではなく「件数」で置くのも有効です。たとえば現状で月に20人が2回目を買っているなら、来四半期は月25人にする、という形です。率は分母(新規客数)が動くと勝手に上下しますが、件数は施策の効果がそのまま反映されます。最初の3か月は数値目標を厳密に決めるより、2回目購入者の人数を毎月記録し、自店の変動幅を知ることを優先してください。判断材料が揃ってから目標を置いたほうが、結果的に早く到達します。

同梱物とメール、どちらから手を付けるべきですか?

先に着手すべきは同梱物です。理由は3つあります。第一に、到達率が100%であること。メールやLINEは開封されなければ存在しないのと同じですが、同梱物は商品を開けた人全員の目に触れます。第二に、タイミングが最適であること。商品が届いて開封する瞬間は、その顧客の期待値がその年でもっとも高い瞬間です。第三に、実装が早いこと。A5のカードを1種類作って封入するだけなら、数日で始められます。メールやLINEは配信システムの設定、シナリオ設計、文面作成と工程が多く、立ち上がりに時間がかかります。ただし同梱物は「渡して終わり」なので、そこから継続的な接点を作るにはメールかLINEが必要になります。順番としては、まず同梱物で友だち追加やメルマガ登録の入口を作り、次にその受け皿としてメール・LINEの配信を整えるのが効率的です。同梱物が入口、メール・LINEが継続、と役割を分けて考えてください。

値引きクーポン以外でリピートを促す方法はありますか?

あります。むしろ値引きに頼るほど、値引きなしでは買われない顧客が育ってしまうため、他の手段を先に試すべきです。効果が出やすいのは次の4つです。ひとつ目は使い方の提案で、購入した商品をより良く使う情報を届けるものです。食品ならレシピ、化粧品なら季節ごとの使い方、雑貨ならお手入れ方法が該当します。ふたつ目は先行案内で、新商品や再入荷を既存顧客にだけ先に知らせる方法です。金銭的な割引はありませんが、特別扱いされているという体験が効きます。みっつ目は補充のリマインドで、消耗品であれば使い切るタイミングの少し前に連絡するだけで再購入につながります。よっつ目はおまけの同梱で、次回使えるサンプルや小さな付属品を入れる方法です。原価は数十円でも、値引きと違って商品の価格を毀損しません。値引きクーポンを使う場合も、全員に配るのではなく「初回購入から60日経っても2回目がない人」のように条件を絞ると、利益への影響を抑えられます。

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