ふるさと納税の新しい指定基準が10月1日から適用|返礼品を出す事業者にとっての意味と今やるべきこと

ふるさと納税の返礼品を自治体に納めている事業者に関わる制度の変更です。2026年10月1日以後に始まる指定対象期間から、総務省が2025年6月24日に改正した指定基準(令和7年総務省告示第220号)が適用されます。返礼品の製造などを行う事業者が「区域内で価値の過半が生じた」ことを証明し、その内容を自治体が公表する仕組みなどが加わります(2026年9月30日時点)。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:10月1日から始まる指定の期間から、区域内での製造や加工で価値の過半が生じた返礼品について、製造などを行う事業者による証明と、自治体による証明内容の公表が求められます。広報目的のグッズの条件や、募集費用の支払先の公表も加わります。
- 意味:返礼品を出している事業者は、自治体から証明書の作成や、一般に売っている価格の記入を頼まれる場面が増えるとみられます。仕入れた商品を詰め合わせただけの返礼品は、続けにくくなる方向です。
- アクション:取引のある自治体からの案内を確認し、原価と工程の内訳、一般販売価格を説明できるように整えておくのが現実的です。自社のネットショップの価格との食い違いにも注意します。
発表の事実
総務省は2025年6月24日に、ふるさと納税の指定基準を定めた告示を改正し、その内容は2026年10月1日以後に始まる期間の指定から適用されます(令和7年総務省告示第220号の附則)。それより前に始まった期間の指定には、従来の基準が使われます。
告示と総務省の資料で確認できた、返礼品を出す事業者に関係の深い変更は次のとおりです。
| 項目 | 告示・資料での内容(要約) |
|---|---|
| 付加価値基準の証明と公表 | 区域内での製造・加工などで返礼品の価値の過半が生じていることを、返礼品の製造などを行う者が証明する。自治体は、その返礼品で寄附の募集を始める日までに証明の内容を公表する |
| 付加価値の算出方法 | 付加価値の割合は、価格にもとづいて算出することを原則とする(資料) |
| 一般販売価格の記載 | 付加価値基準の返礼品は、証明書に一般に販売している価格もあわせて記載し、公表する。自治体には、合理的な理由なく一般販売価格より高く調達しないよう通知する予定とされている(資料) |
| 広報目的のグッズ | 自治体のキャラクターグッズなどは、前年10月1日から9月30日までに自治体が広報目的で自ら調達して配布・販売した実績があり、計画があるものに限る。返礼品として出す数量は、その実績の数量までとする |
| 募集費用の支払先の公表 | 前年度に募集費用として1つの相手に合計100万円以上を払った場合、自治体は支払先の名称、所在地、支払額、支払の目的の一覧を公表する。支払先が個人の場合は、本人の同意がなければ氏名と住所は公表しない |
このほか、食肉の熟成と玄米の精白は、その自治体のある都道府県で生産された原材料を使うものに限るという扱いが続きます。総務省は、基準に合っているか疑わしい返礼品についての「通報窓口」を設けることも資料で示しています。
なお、同じ告示は2026年3月31日にも改正されており(令和8年総務省告示第145号)、条文の番号や構成が整理されています。実際に適用される条文は、総務省が公開している最新の告示で確かめる必要があります。
EC運営者にとっての意味
返礼品を出しているEC事業者にとっての一番の変化は、「区域内で価値の過半が生じた」ことを自社の名前で証明し、その内容が公表される点だとみられます。
①証明書の作成を頼まれる。これまでは自治体の側で付加価値を説明するケースも多かったと考えています。今後は製造や加工を行う事業者が証明する形になるため、原材料費や工程ごとの費用を、価格の根拠として説明できるかどうかが問われやすくなります。
②一般販売価格が表に出る。証明書には一般に販売している価格も書かれ、公表されます。自社のネットショップやモールの店舗で同じ商品を売っている場合、返礼品としての納品価格と、店頭やネットでの価格の関係を説明できるようにしておくのが安心です。セールで値引きしている期間の扱いなど、どの価格を書くかは自治体と相談することになりそうです。
③詰め合わせ・仕入れ中心の返礼品は続けにくくなる。区域外で作った商品を詰め合わせただけ、ラベルを変えただけといった返礼品は、価格にもとづく算出で過半を説明しにくくなります。こうした返礼品を扱っている場合、区域内での加工を増やすか、返礼品の構成を見直すかを検討する時期に来ているとみられます。
④代行や業務を受けている事業者は、名前が公表される可能性がある。自治体から募集の業務を受けている事業者は、前年度の支払額が100万円以上であれば、支払先として一覧に載ることがあります。
今やるべきこと
今やるべきことは、取引のある自治体からの案内を確かめ、証明に必要な数字を手元でそろえておくことです(2026年9月30日時点)。
- 自治体からの案内を確認する……証明書の様式、提出の期限、公表される項目を、取引のある自治体ごとに確かめます。複数の自治体に出している場合は一覧にしておくと迷いにくくなります。
- 原価と工程の内訳を整理する……原材料をどこで仕入れ、どの工程を区域内で行っているかを、価格の内訳として説明できる形にまとめます。
- 一般販売価格をそろえる……自社のネットショップ、モールの店舗、実店舗での販売価格を確認し、返礼品の納品価格との関係を説明できるようにしておきます。
- 対象になりにくい返礼品を洗い出す……仕入れ品の詰め合わせや、区域外で製造している商品がないかを確かめ、自治体と今後の扱いを相談します。
EC参謀の見立て
今回の改正は、返礼品の「地場産品らしさ」を、事業者の証明と価格という目に見える形で確かめる方向の変化だと受け止めています。数字の根拠を説明できる事業者ほど、自治体と長く取引しやすくなるとみられます。ふるさと納税の仕組みと参入の流れはふるさと納税ECの仕組み|事業者として参入するにはで整理しています。
出典
- ふるさと納税の指定基準の見直し等(総務省 報道資料・2025年6月24日)
- 改正告示 新旧対照表(令和7年総務省告示第220号・PDF)
- ふるさと納税の指定基準の改正等について(総務省・PDF)
- 令和8年総務省告示第145号(PDF)
※制度の解釈や個別の返礼品が基準に合うかどうかは、総務省の最新の資料と、取引のある自治体の案内をご確認ください。