EC速報

Amazonが新「エージェントポリシー」を追加(2026年10月28日発効)|EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

最終更新:2026.11.01(公開:2026.08.05) / EC参謀編集部

Amazonのデータを使ってAIに学習させることが、契約で制限されます。Amazonはサービスビジネスソリューション契約を改定し、2026年10月28日から第4.2条と第19条「エージェントの使用」を追加すると告知しました。セラーツールやスクレイピング、社内のAI活用にそのまま効く改定なので、確認できた事実と準備を整理します。

線引きは、Amazonのデータを外に持ち出しているかです

  • 2026年10月28日から、Amazonの資料をAIモデルの開発・改善に使うことの制限と、自動化システムであることを隠さない義務が加わります(→ 追加の条項)。
  • 見落とされやすいのは、「エージェント」の定義の広さです。いわゆるAIエージェントだけでなく、社内のある仕組みも点検の対象になり得ます(→ 意味)。
  • まだツールの棚卸しが済んでいないなら、契約文を読み込むより先に、自社が使っている仕組みを一覧にするための4つの手順があります(→ 今やること)。

発表の事実:追加される条項

追加されるのは、Amazonの資料の使用範囲を定める条項と、エージェント(自動化ソフトウェア)の使用ルールを定める条項です。確認できた内容を出典のまま整理します。

  • 発効日……2026年10月28日。セラーセントラルのディスカッションで契約改定として告知されています。
  • 「Amazonの資料」の定義追加……Amazonが提供・利用可能にするテクノロジー、商標、コンテンツ等一切、と定義されます。
  • 「エージェント」の定義追加……「個人または法人に代わって自律的または半自律的な行為を行うソフトウェアまたはサービス」と定義されます。
  • 第4.2条(使用許諾)……Amazonの明示的な書面同意なく、本契約の枠外でAmazonの資料を使用することを禁止。大規模言語モデル(LLM)、マルチモーダルモデル、機械学習モデルの開発・改善への利用を制限する内容が含まれます。
  • 第19条(エージェントの使用)……エージェントを自動化システムとして明確に識別すること、およびAmazonからのアクセス制限要請に従う義務が定められます。
  • 禁止行為として挙げられているもの……データマイニング、ロボットによる収集、リバースエンジニアリング、セキュリティ対策の回避、自動化システムであることの隠匿・不明瞭化、人間かコンピューターかを判別する質問への虚偽回答。

今回とは別に、8月24日発効の改定もあります

Amazonは2026年8月24日発効で第18条(権利義務の第三者への譲渡=売上金の受取方法を含む)も改定しています。こちらは資金調達スキームに関わる内容で、今回のエージェントポリシーとは別件です。詳しくはAmazon契約改定|売上金の受取を第三者に譲渡できなくなるをご覧ください。

EC運営者にとっての意味

ここからはEC参謀としての解釈です。今回の改定は「AIを使うな」ではなく、Amazon上のデータを外に持ち出してAIの資産にすることを止めるものだとみています。日常の出品作業が禁止されたわけではありません。

①効くのは「AIで自動化している人」より「AIに学習させている人」。ChatGPTに商品説明の下書きを書かせる、といった使い方は今回の主眼ではありません。問題になりやすいのは、Amazonから取得したレビュー・価格・検索結果・売れ筋データを蓄積して、自社のモデルや予測エンジンを育てている場合です。「Amazonのデータで作った学習済みモデル」は、契約上の位置づけがはっきり変わるとみられます。

②セラーツールの選定基準が変わる可能性がある。価格追跡・競合分析・順位計測といったツールの多くは、公式APIか、そうでない方法でデータを取得しています。第19条が「自動化システムであることを隠さない」「アクセス制限要請に従う」を明文化した以上、非公式な取得に依存しているツールは、10月28日以降に仕様変更や提供停止が起きる可能性があります。ツール側の対応方針を事前に確認しておく価値があります。

③「エージェント」の定義が広い。自律的または半自律的にユーザーの代わりに動くソフトウェア、という定義は、いわゆるAIエージェントだけでなく、RPAや自動ログインする社内スクリプトも射程に入り得ます。実務では、セラーセントラルに自動でログインして作業する仕組みを持っている店舗が、まず点検の対象になると考えられます。

④背景には、AI経由の買い物の広がりがある。AIが人に代わって比較・購入する流れが現実味を帯びるなかで、プラットフォーム側が「誰が(何が)アクセスしているのか」を管理下に置こうとする動きは各社で共通しています。今回の改定は、その入口を契約文書で押さえたものとみられます。

⚠️ 契約解釈についての注意

本記事は公開情報をもとにした速報解説であり、契約条項の法的な解釈を保証するものではありません。条文の原文は改定日までにさらに更新される可能性があります。自社の運用が該当するかどうかの判断は、必ずセラーセントラル上の最新の契約全文および専門家にご確認ください。

今やるべきこと

10月28日までに必要なのは、契約文を読み込むことよりも、自社が何を使っているかを一覧にすることです。

  • 使用中のツールを書き出す……価格追跡、競合分析、順位計測、レビュー収集、在庫連携、受注自動化。公式APIを使っているか、そうでないかをツール提供元に確認する。
  • 社内の自動化スクリプトを点検する……セラーセントラルへ自動ログインして操作する仕組みがあれば、第19条の「エージェント」に該当し得ます。実行主体と識別方法を整理しておく。
  • AI施策のデータ出所を確認する……需要予測や自動値付けを社内で作っている場合、その学習データにAmazon由来のものが混ざっていないかを確認する。混ざっている場合は、10月28日以降の扱いを検討対象にする。
  • 10月28日を関係者のカレンダーに入れる……委託先やツールベンダーがいる場合は、同じ日付を共有しておくと対応が揃います。

EC参謀の見立て

この手の契約改定は、発効日を過ぎてから「うちのツールが止まった」という形で気づくことがほとんどです。今回は10月28日という日付が先に出ているのが救いなので、残り1か月あまりの猶予を「棚卸しの時間」に使うのが合理的です。やることは1つ、「Amazonのデータに触れている仕組み」の一覧表を作るだけ。ツール名・取得方法・提供元の対応方針の3列があれば十分です。なお日常のAI活用(説明文の下書き、問い合わせ返信のたたき台など)まで萎縮する必要はありません。線引きは「Amazonのデータを外に持ち出して資産化しているか」です。AI活用の全体像は生成AIでEC業務を効率化|使いどころ7選で整理しています。

2026年11月1日時点の続報

改定は告知どおりに進んでいるとみられます。2026年11月1日時点で、セラーセントラルで公開されているAmazonサービスビジネスソリューション契約の全文に、第4.2条「Amazonの資料およびサービスに関する使用許諾」と第19条「エージェントの使用」(19.1 識別および遵守要件/19.2 アクセス制限)が掲載されていることを確認しました。定義には「エージェント」(個人または法人に代わって、またはその指示に従って、自律的または半自律的な行為を行うソフトウェアまたはサービス)が加わっています。発効日の延期や内容の変更を知らせる告知は、確認した範囲では見当たりません。

あわせてプログラムポリシーに「エージェントポリシー」が追加され、セラーセントラルの告知では、すべてのHTTP/HTTPSリクエストで自動化システムであることを識別可能にしてエージェントの名称を開示すること、人間かコンピューターかを確かめる質問に偽りなく答えることなどが要件として挙げられています。告知には「2026年10月28日以降に出品サービスの利用を継続した場合、サービス利用者は本変更を承諾したものとみなされます」と記載されています。まだツールの棚卸しが済んでいない場合は、本文の「今やるべきこと」から進めておくのが目安です(Amazonサービスビジネスソリューション契約(全文)/Amazonサービスビジネスソリューション契約の更新とエージェントポリシーの追加(セラーセントラル))。

出典・確認日

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※本記事は2026年8月5日時点の公開情報に基づく速報解説です。契約条項は改定・更新される場合があります。最新かつ正確な内容は必ず公式の契約全文をご確認ください。