日本郵便が2027年2月1日から国際郵便料金を改定|越境EC事業者にとっての意味と今やるべきこと

海外へ商品を送る送料が、来年2月に大きく変わります。日本郵便株式会社(以下、日本郵便)は2026年10月9日、2027年2月1日(月)から国際郵便料金などを改定すると発表しました。EMS・小包・国際エアパケット・小形包装物など、越境ECでよく使われるサービスのほぼすべてが対象です。EMSは6kg以下の重量帯が1kg刻みにまとめられるため、500g前後の軽い荷物ほど上げ幅が大きくなる点に注意が必要です。一方で、越境EC向けに「国際特定記録」の料金割引を2027年度中に新設する予定も示されました。
⏱ 忙しい人向け 3行まとめ
- 事実:日本郵便が2027年2月1日から国際郵便の料金を改定します。米国あての国際エアパケット500gは2,040円から2,720円に、EMS1kgは5,300円から7,400円になります。書留料は460円から900円に上がります。
- 意味:EMSは1kgまでが同じ料金になるため、これまで500gの区分で安く送れていた軽い荷物ほど負担が増えます。送料を一律で設定している越境ECの店舗は、赤字になる注文が出やすくなるとみられます。
- アクション:まず直近の海外発送を国・サービス・重さ別に数え、新料金で差額を試算します。そのうえで、2月1日より前に海外向けの送料表と商品ページの表記を見直しておくのが目安です。
発表の事実:何がいつから変わるのか
改定日は2027年2月1日(月)で、EMS・小包・通常郵便物(書状・はがき・印刷物・小形包装物・国際エアパケットなど)と、手数料・販売品の料金が対象です。日本郵便のプレスリリース(2026年10月9日)に記載された主な改定内容は次のとおりです。
| サービス | 主な改定内容(発表による) |
|---|---|
| EMS郵便物 | 全地帯・全重量帯で料金を改定(保冷EMSを含む)。6kg以下の重量帯を小包と同じ1kg刻みに変更。2万円を超える損害要償額の追加料金を変更 |
| 小包郵便物 | 航空便・SAL便・船便の料金を改定。保険料と同時差出割引率を変更 |
| 通常郵便物 | 書状・はがき・印刷物・小形包装物・国際エアパケットなど(盲人用郵便物以外)の料金を改定。国際特定記録料・書留料・保険料、同時差出割引率・月間差出割引率を変更 |
| その他 | 輸出入申告代行手数料、EMS封筒(マチなし)の料金を改定。EMS封筒(マチ付)は在庫がなくなり次第販売終了 |
改定の理由として、物価上昇や原油価格の高騰、継続的な円安により、国際輸送費用と海外での配達費用が大幅に上昇していることが挙げられています。
料金例:越境ECでよく使う3サービス
発表の新料金表(別紙1〜3)から、越境ECで使われることが多い区分を抜き出しました。差額と率は、発表の金額をもとに編集部で計算したものです。米国あて(第4地帯)のEMSは、現行料金に特別追加料金を含めた金額と比べています。
| サービス・重さ・あて先 | 現行 | 改定後 | 差額(率) |
|---|---|---|---|
| 国際エアパケット 500g・米国 | 2,040円 | 2,720円 | +680円(約33%) |
| 国際エアパケット 500g・中国/韓国/台湾 | 1,120円 | 1,610円 | +490円(約44%) |
| 国際エアパケット 500g・ヨーロッパ等 | 1,600円 | 1,950円 | +350円(約22%) |
| EMS 1kg・米国 | 5,300円 | 7,400円 | +2,100円(約40%) |
| EMS 500g・米国 | 3,900円 | 7,400円 | +3,500円(約90%) |
| EMS 1kg・中国/韓国/台湾 | 2,200円 | 2,850円 | +650円(約30%) |
| 小包(航空)1kg・米国 | 4,200円 | 6,660円 | +2,460円(約59%) |
※地帯の区分は、第1地帯=中国・韓国・台湾、第2地帯=アジア(第1地帯を除く)、第3地帯=オセアニア・カナダ・メキシコ・中近東・ヨーロッパ、第4地帯=米国(海外領土を含む)、第5地帯=中南米(メキシコを除く)・アフリカです。ほかの重さ・地帯は、日本郵便の新料金表で確認してください。
特殊取扱と割引の変更
- 国際特定記録料……370円→390円。
- 書留料……460円→900円。
- 保険料(保険金額2万円まで)……510円→960円。2万円を超える分は、2万円ごとの加算が50円から60円になります。
- 同時差出割引(通常郵便物)……1,000通以上3,000通未満が10%→5%、3,000通以上5,000通未満が15%→10%、5,000通以上が20%→15%。
- 月間差出割引(通常郵便物)……1万通以上が20%→18%。それ未満の区分は変更なし。
- 輸出申告代行手数料……2,800円→3,200円。
特別追加料金は0円に、SAL便は引受停止が続く
日本郵便の料金改定ページのQ&Aでは、EMSと小包(航空便)に上乗せしている特別追加料金は、改定にあわせて「0円」にするとしています。費用上昇分を料金そのものに反映したためとの説明です。また、現在引受を一時停止しているSAL便と航空非優先大量郵便物は、引受再開の時期は未定とされています。
越境EC向けの新しい割引とUGXの新サービス
発表では、越境EC市場の拡大にあわせて、「国際特定記録」の料金割引を2027年度中に新設するほか、国際宅配便UGX(ゆうグローバルエクスプレス)の新たな配送サービスを始める予定とされています。料金改定ページのQ&Aによると、割引の対象は「国際特定記録」とする国際エアパケット郵便物です。割引率・条件・開始日、UGXの新サービスの内容は「別途お知らせ」とされ、2026年10月14日時点では公表されていません。
EC運営者にとっての意味
ここからは解釈です。いちばん影響が大きいのは、軽い荷物をEMSで送っている店舗だと考えています。
①EMSの軽い区分がなくなり、500g前後の荷物の負担が大きく増える。現行のEMSは500gから細かく料金が分かれていますが、改定後は「1kgまで」が1つの料金になります。米国あてでは、500gの荷物が3,900円から7,400円になり、上げ幅は約90%です。アクセサリー・化粧品・トレーディングカードなど、軽くて単価の高い商品をEMSで送っている店舗ほど、送料の見直しが急ぎになりやすいとみられます。
②国際エアパケットとの差が開き、使い分けの判断が変わる。米国あて500gで比べると、改定後はEMSが7,400円、国際エアパケットが2,720円です。到着の速さや補償の違いはありますが、2kg以下の小さな荷物は国際エアパケットに寄せる店舗が増えると考えられます。2027年度に予定される割引もこのサービスが対象なので、条件が発表されたら確認しておく価値がありそうです。
③書留・保険をつけている高額品は二重に効く。書留料は460円から900円、保険料(2万円まで)は510円から960円とほぼ倍になります。高額品で書留や保険を毎回つけている店舗は、本体の料金に加えてこの差額も試算に入れる必要があります。
④海外モール・越境サービス経由の店舗も、間接的に影響を受ける可能性。海外向けの代理購入・転送サービスや越境ECの支援サービスの多くは、国際郵便や国際宅配便を使っています。そうしたサービスの手数料や送料が今後見直されるかどうかは、各サービスの案内を待つ必要があります。
なお、日本郵便は国内のゆうパック・ゆうパケットなどの料金も2026年10月1日に改定しています(日本郵便の国内運賃改定の速報)。1月1日からは国際郵便の書状・印刷物の規格変更も始まるため(書状・印刷物の規格変更の速報)、海外発送の手順は年明けに2段階で変わることになります。
今やるべきこと
今やるべきことは、海外発送を国・サービス・重さ別に数えて差額を出し、2月1日までに海外向けの送料を決め直すことです。
- 国・サービス・重さ別の件数を出す……直近3か月ほどの海外発送について、あて先の地帯、EMS・国際エアパケット・小包などのサービス、重さの区分ごとに件数をまとめます。EMSで1kg未満の荷物が多い店舗ほど、優先して試算するのが目安です。
- 新料金で差額を試算する……件数×差額で月額の影響を出します。書留・保険をつけている場合は、その差額も足して計算します。
- 海外向けの送料表と表記を見直す……Shopifyなどのカートで地域別の送料を設定している場合は、2月1日の差し出し分から合うように新しい送料表を準備します。考え方は送料設定の決め方や越境ECの始め方も参考にしてください。
- 発送方法の使い分けを決め直す……軽い荷物はEMSから国際エアパケットへ、重い荷物はEMSか小包かを比べ直します。日本郵便以外の国際配送サービスも含めて、到着日数・追跡・補償・手間を並べて検討するのが現実的です。
EC参謀の見立て
今回の改定で注目したいのは、平均的な値上げよりも「EMSの重量帯が1kg刻みになる」という仕組みの変更です。料金表を「1kgのところだけ」見て判断すると、軽い荷物の負担増を見落としやすくなります。私たちの現場では、海外向けの送料を国ごとの一律料金にしている店舗も少なくありません。重さの区分ごとに新旧の料金を並べてみることが、まず手をつけやすい一歩だと考えています。
出典
- 国際郵便料金などの改定|日本郵便 プレスリリース(2026年10月9日・別紙1〜4の新料金表を含む)
- 国際郵便料金の一部改定のお知らせ(2027年2月1日(月)から)|日本郵便
- 日本郵便が「国際特定記録」の料金割引を2027年度中に新設|ネットショップ担当者フォーラム(2026年10月14日)
※金額は日本郵便の発表(2026年10月14日確認)のとおりです。差額と率は編集部の計算です。割引の条件やUGXの新サービス、SAL便の再開時期などの続報は、日本郵便の公式サイトで必ずご確認ください。