EC速報

経産省の2025年EC市場調査|BtoC-ECは27.6兆円・5.5%増——EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

公開:2026.10.22 / EC参謀編集部
経産省の2025年EC市場調査|BtoC-ECは27.6兆円・5.5%増——EC運営者にとっての意味と今やるべきこと

経済産業省は2026年10月21日、「令和7年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の結果を公表しました。2025年の国内BtoC-EC(消費者向けの電子商取引)の市場規模は27.6兆円で、前年の26.1兆円から5.5%増えています。物販系のEC化率は9.80%で、前年からの伸びは0.02ポイントにとどまりました。発表の数字と、店舗が自社の数字と見比べたい点を整理します。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 事実:経済産業省の調査で、2025年の国内BtoC-EC市場は27.6兆円、前年より5.5%増えました。物販系のEC化率は9.80%で、前年より0.02ポイントの上昇です。
  • 意味:市場全体は伸びていますが、物販のEC化率はほぼ横ばいです。店の売上が市場の伸びに届いているかを、自社の分野の数字と並べて見ておくと判断しやすくなります。
  • アクション:自社の分野の伸び率とEC化率を確認し、前年比で自店と比べます。中国向けの越境ECや個人間ECの伸びも、販路を考えるときの材料になります。

発表の事実

経済産業省が2026年10月21日に公表した調査結果のうち、ニュースリリースに書かれている数字を出典のまま整理します。調査は1998年度から毎年行われ、今回で28回目です。

  • BtoC-EC市場規模……2025年は27.6兆円(前年26.1兆円、前々年24.8兆円)。前年比5.5%増。
  • BtoB-EC市場規模……2025年は560.1兆円(前年514.4兆円)。前年比8.9%増。
  • EC化率……BtoC-ECは9.80%(前年比0.02ポイント増)、BtoB-ECは45.9%(前年比2.8ポイント増)。BtoC-ECのEC化率は物販系分野が算出の対象です。
  • 物販系の大きな分野……「食品、飲料、酒類」3兆3,332億円、「衣類・服装雑貨等」2兆8,941億円、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」2兆8,829億円、「生活雑貨、家具、インテリア」2兆6,258億円。この上位4分野がそれぞれ2.5兆円を超えています。
  • EC化率が高い分野……「書籍、映像・音楽ソフト」57.93%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」43.08%、「生活雑貨、家具、インテリア」31.73%。
  • サービス系・デジタル系……サービス系は「旅行サービス」3兆7,603億円が大きな割合を占め、「チケット販売」は前年比15.13%増。デジタル系は全体で前年比4.52%増でした。
  • CtoC-EC(個人間EC)……2兆6,870億円と推計(前年比6.34%増)。リリースの注記では、実態としてBtoB・BtoCの取引も一部含む数値とされています。
  • 越境EC……日本・米国・中国の3か国間の越境ECは、いずれの国の間でも増加。中国の消費者による日本の事業者からの購入額は2兆7,560億円(前年比4.5%増)です。

分野ごとの伸び率については、物販系の総額は15兆8,233億円(前年比3.97%増)、サービス系は8兆9,362億円(同8.64%増)、デジタル系は2兆7,985億円(同4.52%増)と報じられています(報道による)。物販の分野別では、「書籍、映像・音楽ソフト」を除く分野が前年より増えたとされています(報道による)。

EC運営者にとっての意味

市場全体は伸びていますが、物販の伸びはサービス系より緩やかで、EC化率もほぼ横ばいだったとみられます。ここからはEC参謀としての解釈です。

①「市場が伸びているのに売上が伸びない」は珍しくない状況です。物販系は前年比で4%前後の伸びと報じられており、値上げの影響も含まれる可能性があります。自店の売上が前年比で数%増えていても、市場並みにとどまっている場合があります。前年比の数字は、市場の伸びと並べて見ると読み違いを防ぎやすくなります。

②分野によってEC化率の水準が大きく違います。食品・飲料・酒類はEC市場では最大の分野ですが、EC化率は報道で4.66%とされ、まだ店頭での購入が中心です。逆に書籍や家電はEC化率が高く、すでにネットでの比較が当たり前になっている分野です。前者は「ネットで買う理由」を伝える工夫、後者は価格・配送・レビューでの比較に備える工夫が効きやすい傾向があります。

③越境ECと個人間ECも、選択肢として数字で見られるようになっています。中国の消費者による日本の事業者からの購入額は2.7兆円を超えています。いきなり海外に出る必要はありませんが、越境ECの始め方のように小さく試せる方法もあります。同じ時期に公表されたJADMAの調査とは、集計の範囲と期間(暦年か年度か)が違うため、数字を直接比べない方が安全です。

今やるべきこと

調査の数字は、自店の立ち位置を確かめる物差しとして使うのが現実的です。

  • 自社の分野の伸び率と並べる……2025年の自店の売上の前年比を出し、物販系全体(報道で3.97%増)や自社の分野の伸びと比べます。
  • 伸びの中身を分ける……売上を「件数×単価」に分け、値上げで単価が上がった分と、注文数が増えた分を分けて見ます。
  • 自社の分野のEC化率を確認する……EC化率が低い分野なら、店頭ではなくネットで買う理由(ギフト対応・まとめ買い・定期便など)が伝わっているかを点検します。
  • 報告書の該当ページを読んでおく……分野別の表や越境ECの詳細は、経済産業省の報告書(PDF)に載っています。社内の計画資料に使う場合は、報告書の数字を引用元として使うのが安心です。

💡 EC参謀の見立て

市場規模の数字は、それだけで打ち手が決まるものではありません。役に立つのは「自店の伸びが市場と比べてどうか」を確かめる基準としての使い方です。年に一度、この調査が出たタイミングで自店の前年比と並べておくと、来年の計画が立てやすくなると考えています。

出典

※本記事は2026年10月22日時点の公開情報に基づく速報解説です。最新かつ正確な内容は、経済産業省の発表と報告書をご確認ください。